見出し画像

魔女のバァさんの誕生

これ読んで。

魔女の婆さんが大釜でなんか煮てるあれ。ただ単に農家の老婆がシチュー温めてるだけの話である。それが誤解と無知と豊かな想像力がシナジーして魔女を産んだのだ。

まず、当時のヨーロッパの農業というのは生産効率が極めて低い。その為水稲というチート級に生産効率が高い作物栽培してた日本人からすると呆れるぐらい広い畑を耕さなければならなかった。そらもう家族総出よ。更に、人が生きてく為には燃料が必要であり、燃料補給が容易である様に「農家は林や森の近く」に居を構える。

するとだな……日中に家を守るのは腰が曲がったり目が見えなくなった老婆や老人になる訳だ。これが森のキワの辺りの時間帯によっては昼なお薄暗いとこにあるボロい家でチロチロとした火にかけた釜に入れたシチューをかき混ぜてると。中世の農民は仕事の進展具合見て各人適当に家帰って昼飯食ってたらしいしな。当然旅人は小麦畑で雑草抜いてる農民の存在に気付かない。それは余りに遠く余りに疎だからだ。旅人は老婆が何故か一人暮らししてると錯覚する。

これを農村の生活知らない都市部の人間が外から見たらどうだろう? 薄暗い家屋の中で、光源となる火は鍋の下。つまり下からライトアップされたバァさんが鍋をグルグル老人速度で混ぜている。

これが、魔女のバァさんである。

ここにたまたま農業やるにはまだ幼い子供がいたとする。当然働かざるもの食うべからずで森や林に薪や焚き付けを拾いに行かされたり、偶に生木を拾って来て老婆に怒られる。正にヘンゼルとグレーテルであろう。森に放牧した豚さんを仮にお子さんが「ジョン」とか名付け、ジョンこっち来てよ、お家へ帰ろうよ……とか語りかけてたとしてごらん? 豚さんは哀れ魔女に魔法で豚にされたジョン(仮名 10歳)と容易に誤解されるであろう。
更に年末近くで豚を潰して肉にする。豚骨からは良い出汁が出るのでシチューにぶち込む。さぁ、そっと家の中を盗み見た旅人が、暗い家の中で「ぶち込まれた豚さんの背骨」を人間の背骨と勘違いする確率は如何程か? 下からライトアップされた老婆の顔を勘案して想像してみよう! なお、幼女が「ジョンーっ! ジョンーっ!(仮名 10歳)」と泣いてたらどうかな?
ぐすん、ジョン美味しい……(苦笑)

中世期にヨーロッパではルツボが無いから、鋳物の巨大釜は無い。鍛治で作れる程度の比較的小さなものに限られるだろう。実は大鍋って金持ちとか異能の証明なのよ。更に伝言ゲームで皆が少しづつホラを吹き……魔女の大釜の誕生だ。また、北欧圏には「料理が尽きることの無い大釜」とかの伝説がある(日本でいうと海彦山彦の話に出てくる石臼。或いはキリストがパンや魚配った話辺りも影響してるかもしらん)そのイメージも重なったかもね。

方針変えて、noteでの収益は我が家の愛犬「ジンくんさん」の牛乳代やオヤツ代にする事にしました! ジンくんさんが太り過ぎない様に節度あるドネートをお願いしたいっ!