小学生に「なんか、すごい!」と思わせる「幻獣最強王図鑑」
先日子どもが借りた本の中に、「幻獣(モンスター)最強王図鑑」という本があり、そのあまりにも小学生心をくすぐる要素大集合の内容に釘付けになってしまいました。
本の内容は、小説や神話に出てくる想像上の怪物たちが次々に対戦していき、1回戦→2回戦→準々決勝→決勝戦と勝ち進んだ2者で最強王を決めるというシンプルなものです。
まずタイトルの「最強王」がすごい。「最強」で「王」ですもん。そんなん小学生惹きつけられるにきまってますよ。何しろ、子どもたちが大好きなモンスターたちが、最強を決めるという必要性によって夢の大集合をキメているのです。
肝心のメンツは、ドラゴン、トロル、ケンタウロス、ゴーレムなど子供たちが本やゲームで親しんでいるであろう存在はもちろんのこと、デュラハン、ナーガ、トウテツ、ムシュフシュなど比較的マイナーなモンスターたちも。
さらに、これってどうやって戦うの?と思わせるスライム、サンドワームなんかもエントリーしていて、計24体の幻獣による夢の対決絵巻が繰り広げられるのです。
最近気づいたのですが、小学生は、理解力が追い付かない時に感じる「なんか分かんないけど、すごい!」、略して「なんか、すごい」マインドが大好きです。さらに言えばこの本は、「なんか、すごい!」に小学生をもっていくのが非常にうまいです。
肝心の対戦の詳しい描き方は、1対1の直接対決の様子を省略することなく全て2ページの見開きにギュッとまとめています。それぞれの試合中の決定的瞬間を3シーンほど取り上げ、そこにアナウンサーによる実況中継のような状況説明文がついています。
物語などの長文が苦手な子でも、モンスター同士のバトル実況中継文なら、読みやすいのではないかと思います。
各対決のイメージを握る、なんばきびさんによるベタ塗りの劇画調イラストは、迫力ある戦いを描くのにぴったりです。
例えば上にも挙げた画像は、ドラゴン対ナーガ(インドの蛇神)という対決カードの挿絵なんですが、ドラゴンのしっぽに打たれるナーガの悲しそうな顔がおかしみと迫力を同時に感じさせます。こんなの「なんか、すごい!」と感じ入るしかないでしょう。
図鑑らしく、データを使って色々説明するけど最終的には「なんか、すごい!」にもっていく例として、大きさ比較図も挙げられます。
下の画像は、エキシビジョンマッチ(そういうのもあるのです)で登場する幻獣の大きさを伝える図なんですが、笑ってしまいました。大きさ比較対象がなんと日本列島なんですよ。これはもう大人が読んでも「なんか、すごい!」と感じ入るしかない。
各対戦カードの間には充実したコラムが挿入されており、モンスターたちが登場する神話や物語の紹介が丁寧にされています。これによって、モンスターへの興味をその背景にある歴史や物語への興味にまでつなげてくれているのです。
うちの子供たちも、この図鑑を読んでからというもの「フロストジャイアントは…」「ヴァンパイアが…」と熱心にそれぞれのキャラクターの戦い方や強さについて話し合っています。今後もうちの子たちの最強図鑑ブームはしばらく続きそうです。
恥ずかしながら私、今まで全くこのシリーズの存在知らなったのですが、最強王図鑑シリーズって大人気らしいですね。フィギュアやアニメにまでなっているとは。他のシリーズもぜひ読んでみたいです。
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