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新しいことへの挑戦は常に初心者狩りと共に

"初心者狩り"という言葉を耳にしたことはあるだろうか?日々オンラインゲームに研鑽を欠かさない方であればすぐにピンとくる言葉であろう。
"初心者狩り"というのは、対人(実際に人間同士で戦う)ゲームにおいて中・上級レベルのプレイヤーが、はじめて日が浅い初心者をターゲットにハメ技(対策を知らなければ何もできないまま負けになるような技)や裏技を用いて完膚なきまでに叩き撫すという慣習・文化である。
俺は社会人になってからめっきりオンラインゲームをやらなくなってしまったので、こんな慣習はすっかり頭から抜け落ちていたのだが、なんとここ数日ゲームとは無関係な場所で久々に"初心者狩り"されたのである。

クラウドワークスと初心者狩り

俺は、お盆休みにいくつか新しい挑戦をしようと目標を立てていた。そのうちの一つが「クラウドワークスで案件を一つ受けてみる」というものだ。
数日前、早速クラウドワークスのアカウントを作成した。俺は現役のシステムエンジニアなので
・複数プログラミング言語で現場開発経験あり
・Officeソフト使用可。多少であれば※VBでのマクロ開発も可能
・TOEIC860点かつ情報系資格も多数所持
etc、、、
と我ながらなかなかのプロフィールを埋めることに成功し、
早速プログラミング知識を用いた(流石に最初なので簡単な)案件に応募した。
野暮だとは思いつつ、掲載者からの連絡を待つ間に他の応募者のプロフィールを見てみることにした。すると「※SpreadSheet使えます」とか「ネット環境が整ったPCあります」とか「主婦だけど多少PC触れます」とか、正直自分のプロフィールと比べた時のレベルの低さに驚いてしまった。と同時に、自分が受注できる確信を持っていた。
そして今日その案件の掲載終了日だったのだが、俺に連絡は来なかった。
つまり、ちょっとネット環境が整っている人、軽くPCに触れる主婦に現役エンジニアである俺が負けたということだ。正直意味が分からなかった。どうしても納得がいかなかった俺は、クラウドワークスで受注実績の高い人を調べ出し、そのプロフィールをくまなく調べてみた。すると俺が予想だにしない、受注を勝ち取る仕組みがそこに見えてきた。
案件を取れるのはプロフィールがすごい人間ではなく
"よりたくさんの案件を受け、かつどれもが高評価"
の人間だったのである。あぁやられた、と思わず感嘆の声が漏れてしまった。クラウドワークスには「【高評価付けます】簡単なアンケートへの回答のお願い」など、実はPCとマウスさえあれば誰でも受けられる案件が乱立しているのだ。彼らは、そういった案件を地道に消化し虎視眈々と自身の(クラウドワークス上での)評価を上げていた。そしてそんなメンツの中で、プロフィールだけいっちょ前で評価★0の俺が選ばれるわけがなかったのだ。
俺もまずは、そういう案件から評価を上げ満を持して開発案件に応募しなければいけなかったのだ。そんな初歩的なことに気づかず、「主婦に負けたのか、、、俺クラウドワークス向いてないのかな」なんてつまらない敗北感に満たされてしまっていたのだ。

スプラトゥーンと初心者狩り

昔俺は同じような経験をWiiUというゲーム機の"スプラトゥーン"というゲームで味わったことを思い出した。オフラインでのチュートリアルが終わり、いざナワバリバトル(オンライン対戦ができるモード)に繰り出したところ初期地点からほぼ動けずに3分間一方的にボコボコにされ、気づいたら試合が終わっていた。この時俺は本気で「買わなきゃよかった、向いてないし売りに行こう」と考えていた。ただ、当時大好きだった実況者のもこうさんという方が、負けても負けてもひたすらスプラトゥーンをしているのを見て、オンラインゲームってみんな最初はこうなのか。まだやめるのは時期尚早かな。と思い、俺自身も攻略サイトや上手いプレイヤーの動画を血眼になって研究しプレイを続けてみた。結果俺は、購入3か月ほどでS+(将棋の段みたいなもので、S+は最上位の位)になり大会に出場するまでになった。この経験から、人はみな(天才でもない限り)新しいことを始めれば最初は経験者にボッコボコにされるが、それは別に才覚がないというわけではなく、そういうものなのであると学んだ。


新しいことへの挑戦は常に初心者狩りと共に

そう、学んでいたはずだった。しかし、十年という時間の中で(ゲームから離れてしまったせいかもしれないが)すっかりそれを忘れ、「主婦に負けたのか、、、俺クラウドワークス向いてないのかな」なんて考えてしまうようになっていたのだ。社会人が挑む挑戦だってオンラインゲームと変わらない。
対人戦で、常に誰かと勝ち負けを競う世界。挑戦したての初心者が経験者に叩き潰されて当然なのである。もっと言えば、ゲームと違い大人のになってからの挑戦というのは、収益・プライドなど、勝敗が喫した際に失うものが段違いに多く、かつ重いのだ。なので当然みんな、意図せずとも初心者を潰すし、初心者はそれを理解した上で潰されないように創意工夫しなければいけない。俺は今日、なぜそんなことにすぐ気づけなかったのかと悔しく思う一方で、昔オンラインゲームで初心者狩りされて良かったな。と、自室で静かに過去の自分に親指を立てた。大半のことは諦めなければS+になれる、俺はスプラトーンから思わぬところで一つ人生の糧を得ていたようだ。

※VB‥VisualBasicの略。Microsoft社のOffice製品を自動化する為に用いるプログラミング言語の一種。
※SpreadSheet‥Google社が提供するブラウザ上で表計算ができるツールのこと。



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