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プラプラ堂店主のひとりごと㉝

〜古い道具たちと、ときどきプラスチックのはなし〜

占いのはなし

 ぼくは占いがきらいだ。勝手に人の運勢やら性格を決められると、腹が立つというか。本当はいろいろ気にするタイプだから、悪いことをいわれて引きずるのがイヤというか。それなのにここ数日、会う人にいろいろな占いの話を聞く。これは何かの偶然か?!

「2021年、占星術の世界では水瓶座の時代になったのよ。一言で言うと『支配』から『解放』へ。今までの価値観がガラッと変わるの。風のように軽やかに生きる時代よ。それであなたは蟹座だから…」

「マヤ暦の占いによると、君は『黄色い種』だね。あ、占いをバカにしてる?でもね、これは古代マヤ文明の叡智の賜物でね。完全に科学の世界なんだよ。アメリカの宇宙飛行士のクルーの相性をみる時にも使われているんだ。それで…」

「数秘術って、知ってます?名前と生年月日でわかるんですけどね、これがけっこう当たってね〜面白いの!」

「ゲッターズ飯田の五星三心占い、当たるよ〜。ぼくは金のインディアン座なんだけど、今年けっこういいんだよね。え、知らないの?」

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 とにかくあらゆる情報がいっぺんにやってきて、疲れた。で、だんだんマヒしてきたというか。フラットに話が聞けるようになってきた。聞いてから調べてみると、面白いものもある。大きな時代の変化とか、不思議と当てはまっているなぁと思ったり。それに星の動きを数式にしてゆく複雑さに驚く。こんなこと、古代の人はよく思いついたよなぁ。占いに拒否反応があったのは、決めつけられるような相手の態度だったのかもしれない。それにしても。生年月日というのは面白いな。性格や運命にかかわるとしたら、生まれる日によってぼくの性格が変わるのか。マヤ暦では、魂の目的までわかるとか。魂の目的なんて、考えたこともなかったよなぁ。もしそれがあるとしたら、ぼくの魂の本当の目的っていったいなんだろうか。いろいろ考えてゆくうちに頭の中がパンパンになってしまった。

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「ふ〜…」

「お疲れみたいですね。お茶でも入れて休んだらどうです?」

 抹茶碗に言われて、はっと我にかえった。あれ、何でこんなことで疲れているんだろう。仕事でもないのに。うーん、ばかばかしい。休憩しよう。ぼくは日本茶を入れて、ゆっくりと飲んだ。

「そうだ、トルコでは珈琲占いってのがあるんだってさ。珈琲を飲み終わったカップにソーサーを被せて願い事をして、三回まわしてひっくり返す。カップが冷えたら、底の模様で占うっていう。面白いよね。ねえ、抹茶占いってないの?」

「は?お抹茶にそんな下品な占いはありませんっ!」

「う、ごめんよ…」

ぼくはしゅんとして湯飲みに目を落とした。お茶に茶柱は立っていなかった。

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