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美術散歩ー【北村日出子 エスプリ・アンティーク展】

(訪問日:2020/06/17)

古川美術館 分館 為三郎記念館へ「北村日出子 エスプリ・アンティーク展」へ行ってきました。

「婦人画報」でもおなじみの骨董編集人・北村日出子さん。

とはいえ、婦人画報で見てはいたものの詳しくは知りませんでした。。。

今回は30年にわたって収集された西洋の骨董を、和空間の為三郎記念館での展示。

為三郎記念館の入り口。地下鉄池下駅から歩いてすぐの場所にありますが、緑豊かな素晴らしい建物です。

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建物は国の登録有形文化財です。異空間に入り込んだかのよう。

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入り口で靴を脱ぎ、まずは玄関(本来の玄関。チケット販売と美術館入り口は別にあります)へ。

見事な生け花。花器に使われているのは、ルネ・ラリックの「やどり木」。背後の衝立もモダンです。花が結構主張しているのに、それをそっと受け止めてくれているかのような花器。

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葵の間の床の間には、セーブル窯の「金彩エナメルあられ紋花瓶」に花が一輪すっと活けられていました。変わったお花で、ユリに似ているのですが・・。名前がわからず(泣)。

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お茶室ということもあり、お茶道具に見立てたガラスの器が。

水指はドームの「金彩ガラス器」、茶入はロイヤルコペンハーゲン「アールヌーヴォー花器」、そして茶碗に「金彩コロニアル紋様ガラス器」が使われていました。茶入に花器を使うなんて、面白い。

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大桐の間の床の間は竹で飾られていました。

床にはフランスで手に入れたという竹のリトグラフ。そしてびっくりするのが、北欧のマガジンラックを花器に見立てているところ。マガジンラックの底に竹を使い、下に置かれた黒い台がすっきりした印象にしています。

とても斬新なアイデアなのに、違和感なくすっきりとまとまっています。それにしても、この植物、ヘラジカの角みたい。

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大桐の間を廊下から見たところです。この記念館は1934年に建てられた古川為三郎さんの自宅を美術館としているのですが、室内の装飾も素晴らしいです。電灯、ふすまの引手、欄間などなど、こだわりいっぱい。

こだわりがあるのに主張しすぎないのが日本的。そんな素敵な空間にヨーロッパ、北欧の骨董品が溶け込んでいます。手前にあるのは、サンルイやバカラのガラス器。

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ひさごの間。お軸に見立てたフランスのレースや、花入に見立てた籠。西洋のアンティークで日本の「見立て」の文化を表現するという発想力。

何事も柔軟に考えないとなー、と思いました。

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窓辺にはガレの菊紋様のナイトランプ。アールヌーヴォーは日本文化の影響を受けているので、なじみますね。

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階段を降りて、地下にある太郎庵へ。

こちらにはアフリカの仮面とフランスのジョ・ルアールの「金彩カットガラス花器」、厳圭清の「蜻蛉螺鈿漆 茶器」が床の間に。

そして私の目をくぎ付けにしたのが、色鮮やかなピカソ作、ヴァロリスのジャグセット。ヴァロリスは、フランス南部の地中海近くの都市で、ピカソが滞在したこともあり、美術館があるところ。

太郎庵のミニマムな空間に合わせたシンプルでプリミティブな組み合わせにしたそうです。ピカソもアフリカの仮面とか好きでしたしね。

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浮観の間には、バカラのガラスのトレイやシャンパングラスに花が活けてありました。

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桜の間は、天井と壁の絵がピンク色で艶やかな雰囲気です。

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出窓にある飾り棚には、バカラやゴールド&シルバーのガラス器たちが。中庭の竹の緑と相まって爽やか。

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間想の間。小さな空間に「婦人画報」1997年連載の「アンティーク・メモリー」の画像が流れていて、部屋中に芍薬の香りが溢れていました。こちらではヴェルリーズの「オパルセントガラス花瓶」が使用されていました。

思わず「かっこいい!」と呟いてしまいました。なんでしょう、この凛々しさ。

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茶の間には、茶箪笥に西洋と中国のアンティークが。

こうやって見ると、文化って繋がっているんだなあと感じます。

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右側の小さな陶器はオイルポットですが、デンマークのもの。左は中国の明時代の壺。組み合わせの妙というか、書いてなかったらデンマーク産だってわかりませんでした。

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ここ為三郎記念館は、建物自体がとても好きなのですが、毎回作品と空間をうまくセッティングしているなあと感心してしまいます。

今回は特に、生け花を使用しているので、タイミングによってはお花も変わっている様子。お花は「ミルキーウェイ」という名古屋のお花屋さんが担当されたようです。アレンジがとっても素敵でした。

最後に呈茶席「数寄屋カフェ」でお抹茶セットをいただきました。

時期によって生菓子が変わります。今日は「濡れつばめ」。

呈茶席は、それぞれの間の廊下や、浮観の間、桜の間でいただけます。浮観の間、廊下は中庭の緑を見ながらいただけます。お茶碗何人かの作家さんの作品が使われていて、どれが使われるかは出てきてのお楽しみです♪

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「骨董編集人・北村日出子 エスプリ・アンティーク展」は、2020年6月28日(日)まで。

事前にHPで情報をご確認ください。

古川美術館 分館 為三郎記念館HP:

JAFや百貨店の会員優待などもありますよ。

お庭もとても素敵なので、お時間があればぜひ散策してみてください。ただ、蚊が多いので、虫よけスプレーをしていくことをお勧めします。

それでは、ぜひ楽しい美術散歩を♪


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