【1日1事例】医療的ケア児のためのイベントを企画して -小児在宅医療普及への取り組み- #医療的ケア児 #外出支援 #他職種間連携

参考文献:医療的ケア児のためのイベントを企画して
-小児在宅医療普及への取り組み-
筆者:古田 修
発行日:2018年
掲載元:理学療法学Supplement 第53回日本理学療法学術大会 抄録集
検索方法:インターネット
キーワード:医療的ケア児, 外出支援, 他職種間連携
【はじめに】
・在宅で日常的に医療ケアを必要とする子どもは外出の制限を受けることが多い。特に呼吸器や気管切開、胃瘻等の医療ケアが必要な児の場合、通院以外の外出機会は限られ、その家族も同様である。
・毎年、当ステーションと、近隣地域の医師・看護師等の多職種と連携して、医療ケアが必要な子どもと家族を対象にイベントを企画・運営しており、今年で5回目となる。
・その際、医療従事者へ向けて小児在宅医療に関する研修会を開催しており、小児在宅医療に興味を持つきっかけ作りを目標としている。
 
【イベントの内容】
・医療的ケア児と家族に外出機会の提供として、映画鑑賞会を主催している。
・メインイベントを映画鑑賞会とした背景として、対象家族のほとんどが外出といえば医療機関への受診が主である中、楽しみのための外出機会が少なかった。その為、外出機会の提供・支援を一番の目的に考えた。
・また、きょうだい児には近隣の医科大学のボランティアサークルがサブイベントとして遊び場を提供し、両親には子どもを担当のスタッフに預け、他の家族と交流できるパパママカフェを提供した。
・車での移動経験が少ない家族には、自宅に看護師が訪問し、呼吸回路交換など準備の段階から支援を行っている。また、医療従事者への研修会を実施し、小児在宅医療に関する講演や研修を企画した。
 
【研修会の経過】
・第1回目からの変化として特にリハビリテーション職種の関わりが増えてきた。
・イベントの全日程において、理学療法士が移動支援、ポジショニングの確認を行い、これまでの課題であった療法士の専門性が活かされてきた。
・終了後のアンケートには「いつもみてくれているPTが普段の姿勢を分かっていてくれて、看護師さんもいるので安心して預けることができる」と回答があった。
・このイベントは愛知県の小児在宅医療普及推進事業より予算が出ている。
・理学療法士の立場から今後も、小児在宅医療におけるリハビリテーション職の役割を検討する場を持ち、小児在宅医療普及の一端を担えるよう取り組んでいきたい。
 
【今後の課題、考察】
・イベントの企画から運営に携わり、医療従事者も当事者である患者・家族も安心して過ごすことのできる在宅生活のための知識・情報が繋がっていないことが課題であると感じた。
・イベントを通じ、実際に医療的ケア児とその家族を含めた参加者同士が顔を合わせ、移動支援やケアの体験等を行うことで、地域の小児在宅医療の推進と、医師・看護師・福祉関係者等との他職種間連携の強化をはかることができていると考える。
・今後も日常生活の中で当たり前のように医療的ケア児と家族が外出できるよう、地域での体制作りと社会参加に繋がるアプローチや提案をしていくためのイベントを継続していきたい。

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/46S1/0/46S1_J-69_2/_pdf/-char/ja

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