【1日1文献】外出に支援を要する脳卒中者が電動車いすの利用に至るプロセス─TEAによる分析から─#電動車椅子#脳卒中#社会参加

参考文献:外出に支援を要する脳卒中者が電動車いすの利用に至るプロセス
─TEAによる分析から─
筆者:亀井 将太小林 法一
発行日:2020年
掲載元:
検索方法:インターネット
キーワード:電動車椅子質的研究社会参加脳卒中(自立支援)

【抄録】
・本研究の目的は,介護保険受給者が電動車いすの利用に至るプロセスを明らかにすることである.
・4名の対象者にインタビューを実施し,複線径路等至性アプローチを用いて分析した.
・結果,分岐点を経て,「これからも家族や社会とつながるための手段として電動車いすを利用する」という等至点に至った.
・そのプロセスで,“電動車いすを使うと歩けなくなる”という価値・信念が,“電動車いすは便利な道具”に変容した.
・周囲の電動車いす利用者からの情報は,さまざまな時期で対象者の電動車いすの利用を後押ししていた.
・本研究の結果から,他の電動車いす利用者からの情報提供など時期にあった支援を行うことの重要性が示された

メモ
・自操用の電動車いす1)(Powered Wheel Chair;以下, PWC)は,歩行能力の低下などで外出が困難となっ た方にとって有効な支援機器の一つである.
・利用が盛 んな欧米では,歩行能力に制限が生じた高齢者が PWC を利用することにより,活動範囲や社会参加の 拡大 2),自尊心や生活の質の向上3),家族の介護負担 感軽減 4),移動の自立による人的支援および社会的費 用の削減 2)につながったという報告がある.
・我が国に おいても,要支援・要介護者のなかに外出ニードを抱 えながらも介助を要することが外出の阻害要因となっ ている方が少なからずおり5),そうした方々にとって PWC は有効な外出手段の一つになり得ると予想され る.

・ しかし,我が国の PWC の活用・普及状況をみると, 順調とは思えない実態が見受けられる.
・内閣府による と,要支援・要介護者数は年々増加している6).PWC の出荷台数も増えてはいる7)が,要支援・要介護者一 人あたりの出荷台数は横這い状態である.
・公共交通機 関や商業施設のバリアフリー化が進んでいる欧米 8)に比べ日本で PWC の普及が進まないのは,路上の段差 や傾斜 9),商業施設内通路の狭さなどの物理的バリア8), 身体の不自由な人の乗り物であるという心理的バリア9), 広報活動の不十分さ9)などさまざまな要因が想定される. 
・しかし,要支援・要介護者を対象に,その実態や詳細 を明らかにした報告は見当たらない.
・筆頭著者がこれ まで支援した事例においても,PWC を利用すること への心理的な抵抗や運転に自信がないこと,利用したいと思っても家族から反対されるなど,利用に至るま でにはさまざまな課題となる事象があった.

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jotr/41/5/41_522/_pdf/-char/ja


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