【1日1文献】変形性膝関節症に対する腹部引き込み歩行の膝関節機能および胸椎後弯に対する介入効果#変形性膝関節症#胸椎後弯#腹部引き込み歩行

参考文献:変形性膝関節症に対する腹部引き込み歩行の膝関節機能および胸椎後弯に対する介入効果
筆者:村上 慈葉太田 進鈴木 淳鈴木 隆史
発行日:2022年
掲載元:運動器理学療法学 2 巻 (2022) Supplement 号
検索方法:インターネット
キーワード:gait retraining,Draw-in maneuver,胸椎後弯角

【はじめに、目的】 
・膝 OA の発症・進行に影響する歩行時のメカニカルストレスの指 標として、膝関節内転モーメント(KAM:Knee adduction moment) がある。
・膝OAの重症度と KAM には正の相関があり、そのため KAM 減少させる歩行が膝 OA 予防の一方法と考えられている。
・その方法としては、toe-out 歩行、toe-in 歩行、体幹側屈歩行などがあるが、体幹や下肢動作を強制的に修正するため、それらの歩行時に違和 感があることが報告されている。
・体幹や下肢動作の強制的な修正しない方法として、歩行時に Draw-in maneuver(以下、DI)を応用し た DI 歩行が報告され、DI により立位時胸椎後弯角度が減少し、DI 歩行により KAM が減少したと報告されている。
・しかし、それらの報告は DI 歩行による即時効果であり、介入研究の報告はされていな い。 
・そこで、本研究の目的は、6 週間の DI 歩行介入による膝機能およ び胸椎後弯角度への効果を検証することとした。 

【対象・方法】 
・対象は、レントゲンにより膝 OA と診断された 11 名(69.8±6.4 歳、Kellgren-Lawrence 分類:II3 名、III8 名)とした。
・ベースライン時の膝痛、膝関節関節可動域、膝関節伸展筋力、股関 節外転筋力、胸椎後弯角度、膝外傷および変形性膝関節症転帰スコア (KOOS:Knee injury and Osteoarthritis Outcome Score)、健康関連 QOL として SF-8、活動量を測定した。10 分間の DI 歩行指導を行い、 DI 時の胸椎後弯角度を測定した。
・DI 歩行介入は、1 日 20 分(10 分 2 回も可)の DI 歩行を 6 週間行った。
・また、DI 歩行時は、DI が適切に行えているか腹囲をフィードバックすることのできる DI ベルトを使用した。
・DI 歩行介入開始から 1 週後と 2 週後に再度 DI 歩行指導を行い、胸椎後弯角度を測定した。
・6 週後、ベースライン時 と同様の測定を行い、介入前後の比較を行った。
・統計処理は、統計ソ フト SPSS25(日本 IBM)を使用し、Wilcoxon の符号付き順位和検 定を行った。 

【結果】 
・6 週間の介入前後で KOOS(p=0.86)、SF-8:PCS(p=0.59)、MCS (p=0.77)に有意な変化は認められなかった。
・通常姿勢での胸椎後弯 曲角度は、6 週間介入前後で有意差は認めなかった(ベースライン 34.9±4.0°、6 週間介入後 31.9±6.4°、p=0.08)。
・また、胸椎後弯角度の 即時的な効果として通常姿勢と DI 姿勢は、ベースラインでは有意差 はなかったが(通常姿勢 34.9±4.0°、DI 姿勢 31.7±6.7°、p=0.15)、6 週間介入後では有意に減少した(通常姿勢 31.9±6.4°、DI 姿勢 29.7 ±7.0°、p=0.01)。
・その他評価項目では、有意差は認められなかった。 

【結論】 
・DI 歩行の 6 週間介入により、膝機能、胸椎後弯角度の有意な改善は認められなかったが、症例数が少ないため今後介入研究を継続して症例数を増やし再検討をする必要がある。

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jofmpt/2/Supplement/2_P-32/_pdf/-char/ja 

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