【1日1文献】友だち作りの科学「PEERS®プログラム」の実践#SST#PEERS#自閉スペクトラム

参考文献:友だち作りの科学「PEERS®プログラム」の実践
筆者:田中 早苗山田 智子
発行日:2020年
掲載元:子どものこころと脳の発達  11 巻 (2020) 1 号
検索方法:インターネット
キーワード:自閉スペクトラム症思春期PEERS®プログラムSSTエビデンス

【抄録】
・自閉スペクトラム症(ASD)の特性を持つ人は,自分や他者に対する理解や相互的なコミュニケーションのやり方がユニークであるがゆえ,様々な社会的な適応場面において困難な状況に直面することが多い.
・中でも学校という大きな集団の中で,同年代のクラスメイトや仲間との関わりにおいて,友だち作りや友だちとの良好な付き合いを継続することが難しく,孤立しがちである.
・多くの子どもたちが友だちを作り,社会的な交流を活発に行う際には,友だち作りが成功するための方法,法則があり,またそうするためのモチベーションが存在する.
・その法則を,ASDの人の学び方に合わせた工夫を盛り込んで共に考え身につけるトレーニングプログラムPEERSがカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で開発され,世界中で実践され,本邦においてもその有効性が実証されている.
・プログラムの実施方法や参加者が何を学ぶかを筆者らの実践とともに詳説し,今後の展望をまとめた.

メモ
・思春期に1人または2人の親しい友人がいることは,その後の人生において自己の調整や対人的な能 力の発達を予測し,様々なストレスの影響を緩和す ることができる(Buhrmester, 1990).
・またそれは 自己肯定感や自立と正の相関があることが指摘され ている.
・思春期の子どもの多くは良い友だち関係を築き,それを継続し,適度に友だちに受け入れられ る経験をしているが,およそ3分の1の子どもは, 仲間から無視されたり排除されたりすることで友だ ちとの関係がうまくいかないと感じている (Laugeson, 2013; 辻井ら,2017).
・いじめ被害のリ スク要因として,孤立と抑うつの高さが挙げられている(Kljakovicら,2016).
・すなわち友だちがいる ことはいじめにあうリスクを下げることにもつなが る.

・PEERSは,ASDの特性に合わせて作 られた友だち作りのためのプログラムである.科学 的に効果が実証された数少ないソーシャルスキルトレーニングであり,かつコミュニティにおける実践 により実際の生活の場面で成果を得られる仕組みが ある.
・また欧米やオーストラリアだけでなく,アジ アも含め世界各国で既に実施され,日本でも自閉ス ペクトラム症のある子どもにおいてその有効性が認 められている
・本プログラムは,友だちを作り良好な関係を維持 することに関連するスキルに焦点を当てており (Laugesonら,2010),知的障害のないASDを持つ 青年のプログラム終了直後の介入効果だけでなく (Dolanら,2016; Laugesonら,2009, 2012; Shum ら,2018; Yooら,2014),介入後1~5年経った後 であってもその効果が持続していることが確認され ている.
・さらに,PEERSは社会不安の軽減を本来 の目的としてはいないものの,待機リストの対照群 と比較して不安症状が大幅に減少することが示され ている

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcbd/11/1/11_62/_pdf/-char/ja 

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