【1日1文献】介護療養型医療施設における看取りに向けた取り組みと施設の特徴#介護容量型医療施設#看取り#エンドオブライフケア

参考文献:介護療養型医療施設における看取りに向けた取り組みと施設の特徴
筆者:佐々木 晶世  , 黒木 淳叶谷 由佳
発行日:2023年
掲載元:日本在宅医療連合学会誌 4 巻 (2023) 1 号
検索方法:インターネット
キーワード:高齢者介護療養型医療施設エンドオブライフケア

【抄録】
・介護療養型医療施設における看取りに向けた取り組みを実施している施設の特徴を明らかにするために,全国 1,055 施設を対象とした質問紙調査で回答のあった 38 施設(回収率 3.6%)のデータを使用し,デスカンファレンスなどのケアの振り返りの機会(以下,振り返り)の有無と施設の特徴との関連を検討した.
・振り返り実施施設数は 21(55.3%),作業療法士と栄養士の常勤職員数およびリハビリの実施患者数が多かった.
・また,経営が黒字で認知症ケアの質保証体制のある施設が多かった(p<0.05).
・以上より,振り返り有の施設は多職種連携が行われている可能性が示唆された.

メモ
・介護保険施設には,介護 老人福祉施設(特別養護老人ホーム),介護老人 保健施設,介護療養型医療施設の 3 つがあり,こ の中でも,介護療養型医療施設は,医療管理を常時必要とする要介護高齢者が多く入所しており, ターミナルケアの実施が多いことが報告されてい る3). 
・介護保険施設での看取りの実施では,介護職の 精神的負担が大きいと指摘されているが4),看取りを行う介護職へのサポートに関する研究は少な い5).
・介護老人保健施設の看護管理者は,デスカンファレンスの実施や思いを語れる場を作る必要 性を述べている6).
・しかし,緩和ケア病棟7)や一 般病棟看護師8)を対象としたデスカンファレンス の効果については様々な先行研究がある中,介護 保険施設におけるデスカンファレンスなど,看取りに向けた取り組みの実態は明らかになっていない

・振り返りを行っている施設の方が,作業 療法士・栄養士の常勤職員数が多いこと,リハビ リ職員による患者・家族への説明が行われている 施設が多いこと,リハビリテーションの実施頻度 が高いことが明らかになった

・介護老人保健施設 において看取りにおける多職種の連携がうまく いっている理由として,施設全体で協力していく姿勢やリハスタッフによる拘縮予防や呼吸リハ, 安楽なポジショニングの実施,栄養士の食事提供 への工夫など,多職種の協力や専門性の発揮が挙げられている6).
・すなわち,多職種連携の行われ ている施設ほど,振り返りが有効に行われており, それらの施設は看取りへの取り組みだけでなく, QOL の維持・向上も視野に入れた支援が行われ ている可能性があると考えられる.

・経営状態に関して,振り返りを行っている施設 ほど黒字の施設が多いことが明らかになった.
・ま た,振り返りを行っている施設ほどベッド稼働率 が高いことも明らかになっているが,ベッド稼働 率が高い施設ほど経営状態が良好であると考えら れるため,この 2 つの特徴は関連していると考えられる.

結語
①振り返りを行っている施設ほど,作業療法 士・栄養士の常勤職員数が多く,リハビリテーショ ンが頻繁に行われていた. 
②振り返りを行っている施設ほど,経常利益 が黒字で,ベッド稼働率が高かった.
 ③振り返りを行っている施設ほど,介護職員 への支援・教育が行われていた.
 ④振り返りを行っている施設ほど,看護師の 平均勤続年数が少なく,認知症ケアの質を保障す る一方で口腔・嚥下機能のアセスメントや機能向 上に向けた取り組みが少なかった.

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jahcm/4/1/4_4.1_18/_pdf/-char/ja 

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