【1日1文献】日本における精神障害者に対する偏見の文献検討#精神障害#偏見#作業

参考文献:日本における精神障害者に対する偏見の文献検討
筆者:櫻井 友実橋本 健志四本 かやの
発行日:2020年
掲載元:作業療法 39 巻 (2020) 3 号
検索方法:インターネット
キーワード:文献研究精神障害(偏見)イメージ

【抄録】
・本稿の目的は,我が国における精神障害(者)に対する偏見について,偏見が弱い人の属性や偏見を低減する効果的な介入を検討するために現段階で信頼性の高い一定の知見を得ることである.
・医中誌WebとCitation Information by NII(CiNii),J-Dream Ⅲで文献検索し,検索範囲は2002年1月1日から2017年10月13日とした.
・検索の結果,1,906編中13編が分析対象となり,その結果,偏見が弱い人の属性は,精神障害者との接触があることと知識があることの2点である可能性が示唆された.
・精神障害者に対する偏見を低減するための効果的な介入は,精神障害者と『共に作業』することと,普及啓発活動だと考えられる.

メモ
・我が国における精神障害(者)に対する偏見は,様々 な否定的な影響を及ぼしている.
・例えば,精神障害者 施設において,地域住民と障害者施設の対立が生じ, 予定通り施設を設置できないなどの問題が多くあった1). 
・ほかにも,受診の遅れや住宅確保の阻害につながると されており2),精神保健医療福祉の改革ビジョンにお いて地域移行への阻害要因として挙げられている3). 
・精神障害(者)に対する偏見を低減するために厚生労 働省は,精神保健医療福祉の改革ビジョンのもと,普 及啓発活動を実施した3).
・心のバリアフリー宣言の推 進や,政府広報・公共広告・マスメディアの特集など により,集中的に精神疾患に関する正しい知識を広く 情報発信3) した.
・その結果,「精神疾患は誰もがかか りうる病気である」との認識が,啓発活動前は 46. 4% であったのが 82. 4% となるなど,一定の偏見低減効 果が認められた4).
・一方で,近年にも精神障害(者) に対する偏見の存在が報告されており5,6),いまだ根 強く残っているものと考えられる.

・まとめ
1.精神障害者と『共に作業』することで偏見が弱 まる可能性が示唆された. 
2.接触期間と偏見には関連が認められない. 
3.接触がある人は,ない人より偏見が弱い.サー ビス提供経験については,先行研究の結果にばらつきがあり,今後,検討が必要である. 
4.知識がある人は,ない人より偏見が弱い. 
5.性差は偏見に大きな影響を与えていない. 
すなわち偏見が弱い人の属性は,“精神障害者との 接触がある”と“知識がある”の 2 点だと考えられる.

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jotr/39/3/39_273/_pdf/-char/ja 

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