【1日1事例】足関節捻挫の病態と治療 #足関節捻挫 #慢性足関節不安定症 #バランストレーニング

参考文献:足関節捻挫の病態と治療
筆者:小林 匠
発行日:2018年
掲載元:日本アスレティックトレーニング学会誌
検索方法:インターネット
キーワード: 足関節内反捻挫, 慢性足関節不安定症, バランストレーニング
メモ:
・はじめに
足関節捻挫は,スポーツ現場において非常にポピュ ラーな外傷であるにも関わらず,その治療法は確立され ていないのが現状である.
高い再発率や合 併症が早期のスポーツ復帰を妨げ,足関節捻挫の後遺症 としての慢性足関節不安定症(Chronic ankle instability ; CAI)が長期的なパフォーマンス低下の原因となり,選 手生命を奪う可能性もある
本稿では,最も発生頻度の高 い足関節内反捻挫とその後遺症である CAI の病態およ び症状を整理し,各病態に対する適切な治療法について, 現時点で証明されている科学的根拠をまとめる.


・急性足関節内反捻挫の病態と評価
足関 節内側に位置する三角靭帯や後脛骨筋腱などの軟部組織 損傷や骨の衝突によって生じる距骨骨軟骨損傷も一定の 割合で生じる.さらには,距骨下関節の靭帯損傷の 合併例も報告されており,これらさまざまな組織の損 傷が足関節内反捻挫の病態理解を非常に複雑にしてい る
システマティック・レビュー では,受傷後 1 年以上経過しても疼痛が残存する患者が 5-33%存在することも示されている
足関節背屈可動域や足関節外反筋力の低下 のみならず,底屈可動域や底屈筋力への着目も必要で ある.
足関節捻挫の治療においてバ ランス機能の改善は必須と考えられる.このバランス機 能の低下は,主に靱帯や関節包に存在する求心性神経線 維の損傷によって生じると考えられている
・急性足関節内反捻挫に対する初期評価では,画像もしくは臨床評価による構造的不安定性の程度 を把握することが重要である.また,足関節内反捻挫受 傷時には,腓骨や脛骨の遠位部,舟状骨や第 5 中足骨の骨 折を合併する可能性もあるため,スポーツ現場では正確 な触診による評価も必要である
・ 慢性足関節不安定症(Chronic ankle instability ; CAI)の病態と評価
CAIでは、求心性の足関節外反筋力の低下,静的・動的バランス機 能の低下,腓骨筋反応時間の遅延,遅い角速度(5 度/秒未満)における足関節底屈・内反方向の関節位置 覚の低下などを認めるとされる.
種々の functional performance test のうち, timed-hop tests,side-hop test,multiple-hop test(さま ざまな方向に傾斜した床面を片脚でホップした際のエ ラー回数を計測)54)が CAI の特定に有用とされた
・ブレース装着に よって足関節捻挫の再発が約 70%減少することが示さ れた.
・関節モビライゼーション による背屈可動域改善に対する効果量は小さいと結論づ けた.


・おわりに
足関節捻挫やその後遺症である CAI の病態は,超音 波を始めとしたさまざまな診断・評価ツールの開発に よって,徐々に明らかになってきている.
また,リハビ リテーションを始めとする種々の保存療法が足関節機能 を改善させ,CAI 患者の QOL を向上させることも証明 されている.
しかしながら,研究間で治療法が異なり, 単純に結果を比較することが困難なのが現状である.今 後は,重症度や種々の病態に応じた適切な治療プロトコ ルの開発と効果検証が求められる.

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsatj/3/2/3_117/_pdf/-char/ja



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?