【1日1文献】統合失調症に対する作業療法士による 介入の内容と効果 : 英語論文を対象とした文献レビュー#統合失調症#作業療法#文献レビュー

参考文献:統合失調症に対する作業療法士による 介入の内容と効果 : 英語論文を対象とした文献レビュー
筆者:森元隆文,横山和樹,池田望
発行日:2021年
掲載元:札幌保健科学雑誌 第10号
検索方法:インターネット
キーワード:統合失調症,作業療法,作業療法士,文献レビュー

【抄録】
・本研究では,統合失調症に対する作業療法,および作業療法士が実施している心理社会的介入の内容と 有効な側面を概観し、今後の実践と研究の方向性を検討するために,英語論文のレビューを実施した.
・3 種類の検索データベースとハンドサーチにて論文を収集し 2 段階のスクリーニングを経た結果,34 編が分 析対象となった.
・その内訳は,「作業活動・作業療法マネジメント」9 編,「手段的日常生活活動訓練」2 編, 「認知機能リハビリテーション」9 編,「運動療法」2 編,「心理教育・技能訓練」4 編,「就労支援」5 編, 「地域生活支援」3 編であった.
・各介入の主な治療標的に加え精神症状や QOL など様々な側面への効果が示されていたが,特に認知機能は作業療法士による多くの介入で効果を示す重要な治療標的であること が示唆された.
・さらに,今後の実践や研究で作業に関する指標を扱うことで,作業療法の独自性やさらな る効果を示すことにもつながると考える.

メモ
・統合失調症は,陽性症状や陰性症状,解体症状といった 精神症状と認知機能障害を主徴とする疾患で,これらが社 会生活を送るうえでの障害(社会機能の障害)にもつなが る.
・生涯有病率は約 1% 弱といわれ,疾病負荷の大きい疾 患の 1 つとされている

・最近アメリカ精神医学会(APA)が発行 した統合失調症に対する治療ガイドライン4)では,非薬物 療法(心理社会的介入)として認知行動療法や心理教育, 支援付き雇用,包括型地域生活支援プログラム,家族支援, 認知リハビリテーション,生活技能訓練,支持的精神療法 といった精神療法やリハビリテーションが推奨されている.
・また,日本全国の精神医学講座担当者会議が発行した 統合失調症治療ガイドライン5)においても,「日常生活能力 を回復させ,社会参加を可能にすること」を統合失調症の 治療目標としている.
・つまり,統合失調症の治療において 症状のみでなく,活動や参加,そして環境とのつながりに 着目したリハビリテーションが重視されるようになったと いえる.

・集団 OT に加えて 1 対 1 での手工芸や心理教育,個別相 談を通して認知機能や動機づけの戦略的な向上を図る個別 OT を実施した研究では,認知機能や内発的動機づけ,服 薬アドヒアランスの向上と治療満足度の高さが示され 11),
・退院後 2 年間の再入院率や医療コストの低さも報告されて いた 10).
・また,集団での作業活動に加えて「日々の生活の 中での作業バランスや作業との結びつき,各作業への価値 や満足感」についての集団での話し合いにより,作業に関 する指標(作業との結びつきや活動レベル)の向上がみら れていた 12)

ひとこと
・統合失調症に対する作業療法の教科書のような文献。文献レビュー系の文献は全体像を把握する際にとても役に立ちます。莫大な時間をかけて研究してくれた研究者さんや症例を残してくれた臨床家の方々に感謝。

参考URL:
file:///Users/wataruisshiki/Downloads/2186621X1013.pdf


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