【1日1文献】がん終末期における看護小規模多機能型居宅介護サービスの利点を事例から考える#がん#終末期#看護小規模多機能型居宅介護サービス

参考文献:がん終末期における看護小規模多機能型居宅介護サービスの利点を事例から考える
筆者:遠藤 光史  , 高橋 善美長濱 久美
発行日:2022年
掲載元:日本在宅医療連合学会誌 3 巻 (2022) 4 号
検索方法:インターネット
キーワード:看護小規模多機能型居宅介護サービスがん終末期

抄録
【はじめに】
・がん終末期の療養の場の選択に看護小規模多機能型居宅介護サービス(以下,看多機)を活用した症例を報告する.
【症例】
・症例①は膵がん 70 歳代女性,自宅での療養継続が不可能で看多機へ緊急入所し永眠した.
・症例②は肝細胞がん70 歳代男性,状態に応じて看多機を活用した.
・症例③は悪性脳腫瘍 70 歳代女性,自宅への退院は不安で看多機を利用して永眠した.
【考察】
・看多機は介護と医療を統合し,在宅生活支援や看取りなどの医療ニーズの高い患者でも対応する.
・またデイサービスなどを通じて日常性が得やすくがん終末期でも有用であった.
・今後症例を重ねて,看多機の有用な活用および連携の在り方を確立していきたい

メモ
・がん終末期では,病状が急激に悪化することや, 医療的ケアが多く介護負担も大きいため,療養の 場を選択するのに苦慮することを経験する.
・そう した療養の場を選択する際に,さらには住み慣れ た地域で過ごすための選択肢の一つに看護小規模 多機能型居宅介護サービス(以下,看多機)があ げられる. 
・看多機は,在宅での看取り支援など自宅療養を 支える介護保険サービスで,利用者の体調や家族 の状況に合わせ,医療処置も含めたサービス(訪 問看護,訪問介護,通い,泊まり)を 1 つの事業 所が提供する.

・片平ら6)は「看多機ではこの時期に泊り 利用を多くして患者の心身の安定を図り,介護者 の介護指導を集中的に行うことで技術と自信をつ けてもらい,少しずつ自宅で暮らす時間を増やす といった段階的な支援を,様子を見ながら進めて いくことができる」と述べている
・こうした看多 機の利点を活用することで,症例②のような病状 が安定しない場合でも,患者の変化やそれに対す る介護者の心身状態に配慮しながら柔軟に対応 し,穏やかに看取るための環境を整えることがで きる可能性が示唆された

・これまで述べてきたような看多機を利用するメ リットの他にも,「家庭的な環境下で顔馴染みの 職員からのきめ細かなケア」,「月額固定制による 利用者の経済的負担の軽減」などがあげられる8).
・しかしながら一方で,看多機のデメリットもある. 
・「2.5 人の看護師常勤換算配置で認可を認められる ことから訪問看護を経験しない事業所もある」と 報告されており2)全ての看多機が,がん終末期患 者や看取り対応に習熟しているわけではなく,看 取りを含めた多様なニーズへの対応などは施設ご とに能力の差がある可能性も考えられる.

・また片 平ら6)は問題点として,看多機は「自宅での生活 を基本とするという理念があり,宿泊等は施設ご とに 1 日の利用者数に毎回限度があるため利用者 の希望のとおりにサービスが利用できるわけでは ない」ことを挙げている.

・別の文献8)では,「低 所得者や福祉用具利用者の経済的負担」,利用す る看多機のケアマネジャーを利用しなければなら ないため,「他事業所のケアマネジャー担当の場 合ケアマネジャーの変更が必要」であることや, 「看多機についての知識の普及の不足」などの問 題点を事例報告の分析から抽出している.

・さらに 看多機の設置や利用が進まない理由として,利用 者が入院,入所すると報酬が得られなくなり,医 療ニーズが高い要介護利用者を想定した施設であ るため,入院,入所のリスクは高く,安定的な経 営は難しい6)ことも指摘されている

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jahcm/3/4/3_3.4_37/_pdf/-char/ja 


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