【1日1文献】新型コロナワクチンの副反応が訪問診療を受ける患者の日常生活に及ぼす影響のアンケート調査#新型コロナワクチン#在宅医療#日常生活

参考文献:新型コロナワクチンの副反応が訪問診療を受ける患者の日常生活に及ぼす影響のアンケート調査
筆者:山田 純也  , 伊藤 浩光小畑 正孝力石 辰也野口 拓哉
発行日:2022年
掲載元:日本在宅医療連合学会誌 3 巻 (2022) 4 号
検索方法:インターネット
キーワード:新型コロナワクチン副反応有害事象在宅医療日常生活

【抄録】
・新型コロナワクチンの安全性は一般的には証明されてきているが,在宅医療を受ける患者の調査はない.
・ワクチンが在宅医療を受ける患者の生活に実際に及ぼす影響の調査は,ワクチン接種適応の指標となると考えられる.
・在宅医療を受ける患者を対象に,新型コロナワクチンの副反応が日常生活に及ぼす影響をアンケートおよびカルテ情報の抽出によって調査した.
・日常生活に影響があったと答えたのは 1 回目,2 回目接種後とも 5%前後で,いずれも特別な処置を必要としなかった.
・ワクチンを 2 回接種できなかった場合や,アンケート前に診療が終了となった症例には入院や死亡例もあったが,ワクチンとの明らかな関係はみられなかった.

メモ
・在宅医療を受けている,基礎疾患があり ADL が低下している患者にとっては,軽い副反 応が日常生活に影響を及ぼす可能性もある.
・例えば,摂食嚥下障害のある患者が食事が摂れなく なったり,誤嚥性肺炎を起こしやすくなる,といっ たことである.
・しかし,こういった患者の調査は なく,実態は不明である.
・新型コロナワクチンの 3 回目接種については,有効性の報告がされてお り14)15),3 回目あるいは 4 回目以降も接種が行わ れることが予想されるが,医療者側としても接種 を勧めるか判断するため,何らかの指標が必要で ある.

・今回のアンケート調査の範囲では, 日常生活への影響はごく小さく,一時的な ADL の低下や,転倒への注意・対策をすればよいと考 えられた.
・また,副反応のリスクファクターとし て,若年や低い介護度があげられ,このことも今後,在宅医療を受けるような患者の副反応は比較 的安全で,ワクチン接種を勧める根拠となる.

・今回の我々の調査では,入 院や死亡といった有害事象の原因は悪性腫瘍や神 経疾患の末期,心疾患による突然死,老衰と考え られ,ワクチンの副反応との関係を証明する根拠 はないが,末期の患者の死期を早めるのではない か,突然死はワクチンのせいではなかったのか, 誤嚥性肺炎や脱水は,ワクチンによる倦怠感に よって増えないのか,といった疑問には答えられ ていない.
・こういった発生率の低いイベントがワ クチンと無関係であるかどうかを統計学的に確認 するためには,バックグラウンドの発生率との比 較を行う大規模な調査が必要になる.

・在宅医療を受ける患者において,新型コロナワ クチンの副反応は,2 回目接種後の発熱,倦怠感 のみで有意な増加が見られた.
・副反応による生活 への影響は,接種部局所の症状による生活動作へ の影響が最も多かった.
・また,医療的対処を必要 とする症例は皆無だった.

・しかし,転倒例もあり, 医療者は,接種後に際し患者や介護者に対し,移動などの日常動作について注意喚起をするべきで ある.
・若年者や,要支援以下の介護度,1 回目の 接種時に症状があったことは,2 回目接種時の副 反応のリスクファクターであり,3 回目接種時に 特に注意が必要である.
・これらの注意を払えば, 在宅医療を受ける患者に対するワクチンの安全性 は高いと考えられる.

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jahcm/3/4/3_3.4_18/_pdf/-char/ja 

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