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四十九日

20日は彼女の四十九日だった。
彼女がこの世を去ってもうこれだけの月日が経つのか。私は彼女が隣にいてくれたときからこれっぽっちも前に進めていないのに、時の流れは酷だなと感じる。

さて、彼女の実家は無宗教のため、四十九日法要を行う予定はなかったそうだ。そこで、私自身も無宗教なのだが、四十九日の節目に何かできることはないかと思い、とあるお寺に彼女の供養をお願いをした。

その日のお昼ごろ、彼女の遺影及び遺灰とともにお寺に向けて出発した。久しぶりに彼女と出かける気分だ。

供物はお寺で用意してくださるとのことだったが、せっかくなので彼女が好きだったプリンとチーズケーキを持っていくことにした。

往路の電車に乗る前に、東京駅でプリンとチーズケーキを選ぶ。彼女は固めのプリンが好きだった。仕事帰りに彼女にお土産としてデザートを買って帰るときも、毎回彼女が美味しそうに食べてくれるところを想像しながらどれにしようか選んでいたな。

そこから片道一時間半、お寺に到着した。
お寺のご住職は、供養は故人を想う機会であるとともに、遺族のためでもあるとおっしゃっていた。ご住職に話を聞いていただいて少し胸を撫で下ろすことができたのだから、全くその通りである。

供養が終わり、お寺で用意していただいた供物とお花と、自分が持って行ったプリン及びチーズケーキを持ち帰ることになった。「食べることも供養のひとつ」ということなので、家でゆっくりいただくことにした。

この日の彼女の遺影周りはずいぶん賑やかになった。

これからも、私なりにできるだけの供養をしていこう。

たくさん食べてね

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