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初七日の出来事

祖母との別れをまだ惜しんでいた初七日のこと。

お経を読み上げたお坊さんは、家族としばし雑談をし終えてから、こうおっしゃった。

「私はね、四十九日までは亡くなられた方はまだおうちの近くに居ると思うんですよ。だって今日もほら、そこの座布団ひとつだけ誰も座っていないでしょう?

皆さん座布団にちゃんと座っていて、何故かひとつだけ座布団が空いていますよね。じゃあ今座っているご家族以外に座っている人がいるとしたら、誰が考えられますか?」

確かに、1番後ろの座布団だけぽっかりと空いていたのだった。

父、母、母方の祖母、妹、私は座布団に座っていたから、他に座っていると考えられるのは、

まさに今回供養されている父方の祖母しかいないではないか!

そこに居た家族全員が一瞬で目を見合わせた。

続けてお坊さんはこうおっしゃった。「空いている場所は毎回異なりますが、99.9%くらいの確率で必ずこうなるんですよ。1番前が空いていることもあるし、中央が空いていることもありましたよ。」

誰も座布団の数を計算して出していなかったので驚きだった。また、生前の祖母はとても腰が低く、誰に対しても謙遜な態度で接していた。

だから皆、「ばあちゃんなら絶対1番後ろにいるようなタイプだったよね。あそこにはばあちゃんが座ってたんだね。」と納得しながら言い合った。

そして私は、誰も座っていない座布団を見て、にっこりと微笑んだ。

#私の不思議体験