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雨がめんどくさい。
傘もめんどくさい。
センスあるやつを気取りたくて、雨のことを好きと言ってた時期もあったがどう考えても面倒くさい。雨の香りが好き、雨の方が落ち着く、雨があるから地球が成り立っている。とか言い出す奴とは本音では語り合えないと思っている。雨の何が面倒って、何より傘を持ちださないと行けないことが面倒くさい。荷物が1つ増えるのだ、たかが1つの天気のせいで。ゲームで持ち物の上限が決まっているのにその1つの枠を傘で埋めないといけない億劫さと一緒である。
そして、濡れる。雨が降ればズボンのすそは濡れるし、どれだけ傘を差してもバックの端っこは濡れるし靴も濡れる。ほら、雨が面倒くさく思えてきたでしょ?雨降ってて嬉しいのはショーシャンクの最後くらい、マジで。

もし、これが比喩ならどうだろう。人生における「雨」と考えてみる。例えば僕なら受験で失敗した1年や、やりたいことを追いながらも結局諦めてフリーターとなった1年。僕のように皆にとっても「人生の雨」があるだろう。この雨は、辛いし、出来る事なら体験したくない。それでも、その道を進むしかないから雨で濡れた歩きにくい道を俯き加減で歩き続ける。時には家族や友人が横で傘をさしてくれたり、「雨」の中だから気づく優しさもあった。気づけば雨の境界線が見えて、晴れの世界に入る。晴れの世界で暮らしているとさっきまでの雨の世界が愛おしく思えてくる。同じ「雨」に打たれた人と出会った時にはすごい親近感が沸くし、雨の道を歩いたことで人として深みが出たような気がする。いや、雨を経験したのだから深い人間にならないと。という方が正確かもしれない。

天気予報士が嬉しそうに晴れの天気を報道する。スタジオの皆は笑顔で喜ぶ。そんな日もどこかで誰かが雨に打たれている。こっちから手を差し伸べることが出来る簡単な雨じゃない。そんな鍛錬の、不思議な雨の世界。
そこにいる時は苦しすぎて、出てみるとなぜか愛おしい。
やっぱり、雨はめんどくさい。

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