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久しぶり

大学時代の友人と会うことになった。卒業ぶりに会うことになる。小さな緊張と期待がある。1年も経っていないので、緊張しないだろと言われても大学時代の頻繁に顔を会わしていた頻度から考えたら10年ぶりに会う事とあんまり変わらない気もする。

誰しもが昔の友人と会う時に穏やかな緊張をするだろう。
「あの人何か変わっているだろうか」
「昔と同じ感覚で喋ることが出来るだろうか」
「あの話、覚えているかな」
そういう親指と中指で倒せるような小さな悩みがポカポカと浮いているはずだ。僕も負けじと指を弾く。

以前、ふと会った別の大学時代の友達に「最近どお?」と聞いたら「色々あるよね」と言われた。その「色々」を教えてくれなかったのがすごく寂しかった。その人ももっと寂しいのだろうけど。社会人みたいにこの世の事象を「色々」というゴミ箱に適当に捨てないで欲しい。どこか大変そうな姿を自分が助けることも出来ず、大学時代のあの頃とは心の距離が出来ていた。

今回会う人も社会人1年目。そして僕は皆様ご存知フリーター。それに対しての劣等感や悲壮感は一切無いが、立場が違う以上話し合いたい議題も何もかも変わっているのかなと不安になってしまう。大学時代の関係性のまんまなんてことは不可能なわけだし。そんな幸せいっぱいの悩みに苛まれる。

気配りが出来るステータスと引き換えに気にしすぎ人間になった男の苦悩である。
しかし集合場所に向かう踵は弾んでいた。

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