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俺の名はベーコン

かったい台紙で作られた絵本「BBQ大作戦」の1文目みたいなタイトルになってしまった。でも本当に俺の名はベーコンなのである。実際には僕の一人称は「僕」なので「『俺』の名はベーコン」というと嘘をついていることになるのだが、そこはベーコンだけに煙に巻かせておく。

現代人の謎のステータスを着々と作り始めている「スターバックス」。大学生はこぞってスターバックスを買い、これでもかというくらい街を練り歩く。どこかのサイトではあの人らが持っている見栄のスタバカップは9割が使いまわしで実際の中身は空らしい。

そんなスタバに僕も時々行く。都内のスタバはどこも人気でレジ並ぶものなら数分のロスが生まれるくらいに混んでいる。そこで僕はモバイルオーダーを利用している。そのモバイルオーダーでは名前を登録する欄があり、注文した商品が出来上がった時にお客様を区別するための名前である。たしか、謎の英数字を並べることもできるのだが、せっかく自分で設定できるのだからと僕も少し考えてみた。気づいたら僕は「ベーコン」と入力していた。理由は何となく。しかし、その時には僕は気づいていなかった。モバイルオーダーが出来上がった時に店員さんにまぁまぁな声量で名前を呼ばれることを。

「モバイルオーダーでお待ちの『ベーコン』様~!!」

初めて言われたときは、オカンには見られてはいけない引き出しを開けられた時くらい急いでカウンターに向かった。それから何回か僕は燻製物で呼ばれている。何度か名前を変えようかとも思ったけど、昔の自分を裏切るみたいで変えられない。変えるのもどこかベーコンに申し訳ない。変えた時にはベーコンにお歳暮でハムの盛り合わせを送ることになるだろう。予想だにしていなかったベーコンの親戚大集合だけは避けたい。


もし、今後スターバックスで燻製物が聞こえてそそくさと受け取りに行っている人間がいたらその時はそっとしてやっててほしい。

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