同じ舞台、でも違う舞台

先日、というか昨日、4月3日にPAMとして初めて、ライブハウスのステージに立った。
生憎、他のメンバーのスケジュールの都合が合わず、変則的ではあるけど僕一人でギター一本で弾き語りだった。
何もかもが初めてづくしな感じで、リハーサルもとりあえず通してやってみてスタッフさんに緊張でひきつった笑顔をして「次の曲やります。」とかなんとか言っているうちに終わってしまった。
控室で一緒になった人たちと談笑しつつ緊張をごまかそうとしてか、いつもよりも饒舌になっている自分に気付いた。
きっと訳分からないまま始まって終わりそうだなんてことを話した。
控室で一緒になった一人がトップバッターで僕はその次に出番を控えていた。
少し仲良くなったこともあり、彼のライブを観に客席に行ってみた。
マックを駆使して、音楽を流しながら、ギターを入れてみたり僕よりは随分と慣れているような感じだった。
客席には僕の知り合いもいて、それが緊張をだいぶやわらげてくれたような気がする。
やる音楽がだいぶ違っていたので、被りがなくてよかったと内心少し安心しつつ、最後の曲を前に控室に戻った。
控室ではもう一人の人が待機してて、少ししゃべりながら、漏れ聞こえてくるライブの音楽を聴きながら、自分の出番を待った。
待ちきれずギターを肩から下げて、控室の外、舞台の袖で待機していた。
そしてついに、出番が来た。

緊張でちょっと震える手で、けど悟られないようにしながらシールドをアンプに刺した。
リハ通りにセッティングして、スタッフさんに向けて手を挙げる。それが開始の合図なのだ。

一曲目「報われなかった魂のために」
楽器はやらない歌詞専門のメンバーが書いた歌詞で、思想がちょっと強いというようなことをちらっと話したことを覚えている。
一ストローク目普段全くなんでもなくやっているはずなのに、ピックのストロークとギターの弦の位置がうまくバランスが取れずに音が小さくなってしまった。始まりにつまづいてしまったけど、何とかもう一生懸命に弾いて歌うことしか僕には残ってなかった。
懸命に声を張り上げた。どれくらいの人にどれだけ届いてるのだろう、そんなことが頭をよぎる。
冷静半分必死半分、こんな風に乖離してるのは、普段俳優として舞台に立っているからかもしれない。
あっという間に一曲目が終わった。
音が小さい気がした。アンプのボリュームを少し捻った。
次の曲は今ここには来れていないけど、ベースの奴が書いた歌詞なんだと紹介する。
その短い紹介のあと、すぐに二曲目を始めた。

二曲目「イースター」
イントロはだいたい練習通りにやれた。
歌詞、間違えたんだっけ。頭がパンクしそうになった。
けど、この舞台上は自分一人しかいない、崩れそうになる自分を必死に耐えて、パンクしそうな頭をフル回転させて、歌い切った。
音が全然足りない気がした。もっと大きな音で圧倒するはずだったのに。
一人が出せる音は、自分が出せる音はこんなにも小さかったのかと。
それでも楽しかった。客席の一人一人の顔が見えた。
この人たちを、いつかもっと多くの人を沸かせたいと夢想する。
残り二つは自分が作った歌詞だと話した。
どっかのタイミングで普段は俳優をしていることも話した気がする。冒頭だったけか。

3曲目「月の裏側」
悪くなかったように思う。けどもっとほんとはいい曲なんだと伝えきれなかった気がする。
ギターが少し空回った。ギター一本で通して魅せるっていうのはシンプル故に難しいのだと痛感する。
今度はこの曲ピアノ伴奏でやってみたいななんて思ったり…
きっと訳分からないまま始まって終わりそうだという予感は半分当たって、たしかに訳分からないくらい時間の流れは速く感じたけど、3曲やって音のこと、客席のこと、いろんな事が見えたし考えられた。
またこの舞台に立ちたいなと思いながら、最後の曲を迎えた。

4曲目「優しさについて」
この短い20分足らずで一番良かった瞬間だったように思う。
精一杯歌って叫んだ。ギターは添えるだけのイメージ。
要望通り照明さんがサスで抜いてくれて、ステージの上で照らされているのは自分一人。
楽しかった。ギターは全然うまく弾けなくて終わった後思わず苦笑いしてしまったのだけど。
お礼を言ってアンプの電源を切った。
僕の出番は終わった。

客席に戻って安堵した。バンドの仲間や友人が迎えてくれた。
そうして初舞台は無事に終了した。

終わった後ブッキングしていただいた方とお話しする機会があって、芝居と音楽の舞台の違いを考えた。芝居よりよりダイレクトにお客さんとコンタクトを取れるのが音楽とのまず大きな差だというのはすごく肌身に感じたことだった。
どういうスタンスで音楽がしたいのかというのも聞かれて、音楽でできる事と芝居でできる事は違うことが当たり前にあって、自分が音楽でしかできないようなことを表現したいのだなと改めて思った。
同じ舞台でも、違う二つの舞台を、欲張りにどっちも楽しんでいこうと決意した夜だった。

作: 練間 沙(Twitter: @s_i_f_135, Instagram: @s_i_f_135)

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