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素晴らしき'90年代サンデーマンガの世界

自分はかつて、マンガ好きの子供でした。

他にも娯楽はあり、いちおうゲーム機もスーパーファミコンを持っていたのですが、なにせ当時のゲームソフトは1本の値段が1万円くらいするものも多く高価なものでして、お年玉や誕生日などのイベントで多額のお小遣いをもらえる時でないと買えないものでした。

外で遊べばお金はかかりませんが、近所に住んでいた同世代は見事なまでに女子ばかりで、それでも小学校の低学年の頃は気になりませんでしたが、3年生や4年生ともなるとそれぞれ興味の対象が変わってきます。

女子はアムロという沖縄出身の現役JKアーティストに憧れ始め、男子はアニメのアムロ……は当時の時点でもだいぶ古典だったのでSDガンダムに目覚めてコミックボンボンを購読し始める、まあそういう時代でしたが、自分は断然コロコロコミック派でした。

まだ物心が付く少し前から親に小学二年生やら小学三年生やらの学年誌をスイミングスクールの帰りに買ってもらっていた朧気な記憶や、小さい頃から大好きなドラえもんが表紙に必ず載っていることの安心感から手を出したのだと思います。

当時はまだ藤子・F・不二雄先生がご存命でしたので、夏頃になると毎年のように、映画の原作が連載されていました。最初に読んだのはたぶん『のび太の創世日記』。

あと、『ガラパ星から来た男』という読み切りがあって、いつだったかのコロコロコミックの別冊付録でした。その付録には「44.5巻」と銘打たれていました。家には親が買ってきた『ドラえもん』が44巻までずらりと並んでいて、もちろんその44冊はすでに読み倒していて、いつ45巻が出るんだろう?と思っていた時期でした。

当時は知りませんでしたが、すでにF先生はかなり体調を崩されていて、入退院を繰り返されていたらしく、この『ガラパ星から来た男』は、自分がリアルタイムで読んだ唯一の『ドラえもん』の短編となり、実質的な最終巻である45巻のラストのエピソードとなりました。

その後も自分はコロコロコミックを買い続け、律儀なことに小学6年生の3月、つまり卒業までそれを続けました。まあ、5年生の後半あたりからなんとなく幼稚っぽく感じ始めてはいたのですけれども、ポケモンとミニ四駆の情報の欲しさで。そう、コロコロを購読してひととおり読んではいたものの、その目的のほとんどはマンガとは違う要素だったのです。

当時はメディアミックスなんて大人の世界の単語は知りませんでしたが、連載されていたマンガの多くはそれでした。

noteで活動していらっしゃる前田のえみ先生の『みらくるドラクル』やかとうひろし先生の『駆けろ!大空』などのオリジナル作品もあるにはありましたが、正直あんまりプッシュされていなかった印象があります。

もうひとつ『秘密警察ホームズ』というのがあって、タイトルから察することができる通り推理モノなのですが、だんだん、当時ブレイクし始めていたアレに合わせてきたのかな?……みたいなことがなんとなくわかってきます。

そして、まんまとアレ……『名探偵コナン』……が目的で週刊少年サンデーを買いました。見た目も頭脳も子供な当時の自分はまんまとトリックにかかったわけですな。

さて、'90年代のサンデーは、隠れた名作が多いといわれています。中期以降のコナンの大ブレイクが目立っていたものの、他にも良い作品はたくさんあります。

『うしおととら』

リアルタイムでは読んでいませんが、連載開始は1990年とのこと。'90年代の幕開けと共に始まった不朽の名作。

完結から20年ちかくも経った2015年になってアニメ化されるなど、根強い人気を誇ります。

お寺の息子である主人公・うしおが、ひょんなことから甦らせてしまった邪悪な妖怪・とらと、不思議な日常生活を送りつつ妖怪退治をすることに。

初期は人間を喰らうことしか考えていなかったとらの心境はだんだん変わっていき、鬱陶しい存在でしかなかったうしおとの関係性も変化します。それだけならこの2人の友情モノということでベタな内容なのですが、サブキャラクターのエピソードが複雑に絡んでいって、ラストの数巻で一気にまとまっていきます。

現在は文庫版が出ていますが、当時のサンデーコミックスがおすすめです。シリアスな本編とは真逆にふざけまくっているオマケページがめちゃくちゃ面白いので。

『ガンバ!Fly High』

元体操選手の森末慎二さんが原作を勤めた作品で、コナンと同じ時間帯にアニメが放送されていたので、先にそちらを視ていました。

サンデーを読んでいたリアルタイムではもう連載終了が間近に迫っていて、原作を最初からちゃんと読んだのは10年以上が経ってから。内村航平選手がこの作品を愛読書と言っていたのをどこかで見たことがきっかけです。

弱小とバカにされていた体操部を再建しオリンピックを目指すという話で、外伝も合わせると全35巻という長編ですが、最初から最後まで、無駄なキャラクターがひとりもいません。

こういったスポーツものの長編マンガって、噛ませ犬みたいな、ああそういえばそんな奴いたような気がする、くらいの印象の薄い敵役がいたりしますが、この作品はみんなちゃんと印象に残ります。キャラクター総数はかなり多いのにごちゃごちゃしていない。

ただひとつだけ残念なのが……タイトルがダサい。アニメ版のタイトル『ガンバリスト!駿』もまたダサい……。

『神聖モテモテ王国』

ひとことで言うと、壊れているマンガ。

ただ、ジャンプの『ボボボーボ・ボーボボ』 や『ギャグマンガ日和』みたいなネジが抜けた感じの壊れ方とは少し違います。

こちらはむしろ、ネジが多過ぎてどうかしてしまったような壊れ方なのです。うーんどう説明したら良いのやら。

この表紙の変な奴が主人公・ファーザーで、女性にモテるべく気を引こうとあれこれ画策して毎回のごとく失敗する、という、構造としてはわかりやすいギャグマンガではあるのですが、それを極限までわかりにくくするボキャブラリー豊富すぎてなに言ってんのかわからなくなってくる迷言の数々が癖になります。

Twitterにはこの迷言を集めたファーザーbotアカウントが存在するので貼っておきます。

中盤からはトーマスというかなり危ない奴が出てきてファーザー以上にトチ狂った発言をしまくっているので、癖になる人は抜けられなくなると思います。

他にもあるのですが、だいぶ長くなったのでこのあたりで。

元ネタはこちらです。同じように週刊少年ジャンプについて書くほうが良かったんだろうけど、自分は現在にいたるまで自分でジャンプを買ったことがないという……。もちろん読んだことは何度もありますが。

サンデーがどうこうというより、単純に自分のマンガ遍歴みたいになりました。これとは別のルート(いとこのお古)で、なかよしやりぼんに連載されていた少女マンガもけっこう読んでいたのですが、そのあたりもいずれ。


サウナはたのしい。