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このマンガもすごい!2016 プラーナ版

astralさんから許可をいただいたので、自分も便乗して書いてみようと思います。「このマンガもすごい!」


『地上最強の男 竜』 /風 忍

以前、自分の日記中でも少し触れたことがあるのですが、とにかくとんでもないことしか起こらない迷作です。

タイトル通り、主人公である「竜」は地上最強の力を持つ男で、どんな相手でも0.2秒で抹殺できてしまう超人で、その凶暴さゆえにFBIなど多数の諜報機関から生命を狙われています。

そんな緊張感あふれる生活を送りつつ空手の練習をしていた竜は、ついうっかり試合相手を殺してしまいます。まあ0.2秒で誰でも抹殺できるほどの実力を持つのですから、一般人とまともに空手なんてしたらどうなるかは行わずともわかるはずですが、……竜には、自身が地上最強であるという自覚が欠けていたのでしょう。

その後、うっかり殺してしまった人物の恋人であり『パタパタママ』が大ヒット中の人気歌手である邦子おねえさんに生命を狙われたり、唯一の味方のはずだった師匠(地上最強なのに師匠がいる)に「神からお告げを受けた」という謎の理由で生命を狙われたり、イエス・キリストと宮本武蔵とブルース・リーが現代に蘇ってしまったりします。

ストーリーはこの通り破綻そのものですが、圧倒的な画力と緻密な描き込みでページが満たされていて、もはや常識や理屈を読者に言わせないほどの威力。まさにブルース・リーの名言どおり、「Don't think,feel.」そのもの。

1996年と2001年に復刻版が発刊されていますが、いずれもプレミア価格です。といってもまあ2000円前後なので、まるで手が出せないというほどではないのですが……上記の内容にその金額を出して良いと思うのなら……まあ、うん、いいんじゃないかな……。

『おやつ』/おおひなたごう

おおひなたごう先生の作風は基本的にシュールです。でも、ガロとかアックスとかのもはや病みきってしまったシュールさではなく、ギリギリのラインでチャンピオンやヤングジャンプに載せられる(でもジャンプは無理そう)ようなバランス。その中でもこの『おやつ』は群を抜いていて、全5巻ともユルい狂気を……放っているよりも、潜ませています。

架空のスポーツ「パワーホライズン」というものが出てきますが、このパワーホライズン(通称パワホラ)について、作中で具体的な説明はほとんどありません。野球に割りと近い競技のように思えますが、よくわかりません。技名などの専門用語も出てきますが、何をどうしている状況なのかさっぱりわからない技もあります。とても不親切な漫画です。

『キャプ○ン翼』に出てきそうな頭身の赤んぼ先生(名前の通り、おしゃぶりを咥えた赤ちゃんです。頭身はおかしいけど)や、おやつを出せる魔法を持っていながら自分が食べる分しか出さないドケチのおやつ神様などの美味しいキャラクターがいるのですが、基本的に全員よくわかりません。絵柄はとてもピースフルでレトロな雰囲気ですが、地味にブラックな発言や時事ネタも交えています。

どの巻から読んでも問題ない構造なので、全巻そろえなくてもいい感じです。個人的に、先述のパワホラが初登場する第3巻は歴史的傑作だと思っています。

ざっくりと紹介させていただきましたが、続くのかな?続かないのかな、これ。よくわかりませんが、メリークリスマス。

#マンガ #紹介 #エッセイ

サウナはたのしい。