狭いアパートの記憶

夢占いでは、以前に住んでいた家が夢に出てくるというのは、現実に何かしらの不満を抱えているから、ということになるそうです。

ええ、何を隠そう、自分はよく見るのです、以前に住んでいた家が出てくる夢。

小さい頃、2DKの狭いアパートに住んでいました。

台所と6畳間2つ。 トイレとお風呂は別々にありますが、廊下などはなくて台所の横のドアに直で繋がっていて、洗面台は壁にくっついた簡易なもの。鏡?そんなもんないぜ。

洗濯機を置くスペースがないからベランダ(これも簡易的なもの)にドカンと置かれていて、服を干す時はその真上に。真上にしか干しようがない。

押し入れには大量のおもちゃ(9割がトミカとその情景商品)といつから存在するのかわからない家電が無造作に突っ込まれ、ダッシュボードの周りはぬいぐるみと中古レコードだらけ。部屋の端っこにあるはずのコンセントが完全に塞がれた状態。

……というように、文句ばかりが出てくる昔の家なのですが、なぜか頻繁に夢に出てきます。だんぜん今の家の方が好きなんですけどね。廊下あるし。

そのアパートは、数年前に取り壊されました。

2DKで廊下なしという間取りからもわかるように、基本的には1人暮らしや新婚夫婦に向けた仕様で、子供が大きくなったり第2子が産まれたりすると、みんな引っ越していって、何人かいた自分の同級生も、ほとんどがどこかへ行きました。唯一、近所の名物おばさんだったIさんだけは、子供が1人立ちした後もオカンだけで住み続けていましたが。

Iさんはとても面白く、6畳間に3段ベッドを無理やり置いて、1段めを完全にウサギ小屋にしていたり(※アパートなので本当はペット禁止だけど、ここはなんかかなりユルくて、他の住人も犬とか猫とか普通に飼っていた)、なぜか唐突に大量の枝豆をくれたり(申し訳ないがその頃から豆は嫌いだったので他の子にあげた)、それまで別にジャニーズオタクでもなかったのに、ある日「光GENJIの解散ライブに行く」と書き置きを残して本当に行っていたり。

なぜ昔の家の夢を見るのか?ということを冷静に分析しようと思っていたのに、Iさんのお話になってしまいました。そんな強烈なオカンに育てられていた同級生の女の子はワイルドで、いつだったかに書いたセミの脱け殻を踏み落とす遊びは、彼女に教えてもらったんよな……。

サウナはたのしい。