日々、発見。お料理について。

近頃すごい大発見をした。
お料理をしたくない日というのが主婦なら誰しもあると思うのだけれど、そんな時の乗り越え方だ。すごいでしょ。

話をさかのぼること2週間ほど前。NHKで「レイチェルの美味しい旅レシピ」という番組をやっていた。
真っ赤なリップがお似合いのレイチェルが旅先のトルコで出会った料理からインスピレーションを受けてオリジナルの料理を作る、という回だった。
レイチェルはとにかく楽しそうだ。ブレンダーでピスタチオを砕くときも、パイシートに卵を塗るときも、コンロに火をつけるときだってやっぱり楽しそうだ。時折ちっとも面白くないジョークだって織り交ぜる。
詳しいレシピの紹介もないけれど、とっても美味しい料理を食べた後のような幸せな気持ちになった。
そんなレイチェルを観た数日後の週末。
家族5人分のお昼ごはんを作るのが酷く億劫に思える日があった。
作るのは面倒臭いけれど、スーパーに買いに行くもかえって難儀だし(5歳と3歳が、一緒に行く!と喚くのは明らか)
冷蔵庫をみてブロッコリーのパスタを作ることに決めた。が、しかし億劫だ。
けれど子供たちが、お腹が減ったよぅ、とグズグズするのも嫌だし、おひるごはんが遅くなって夜ご飯を食べなくなるのも嫌だ。早急に作らなくてはならない。話はそれるが、夫は大食漢だ。彼の胃袋を満たす量を作るのもまた億劫だ。
あぁ。レイチェルだったらなぁ。と思った。レイチェルだったらきっとこんな日もうんと楽しくお料理をするに違いない。瞬く間に色鮮やかなお料理を作って「ボナペティ!」なんてちょっとおどけて見せるのだ。

そうだ、レイチェルになろう。と閃いてしまった。閃くのは得意だ。
そう思ったらがぜんやる気が出た。
「まずは大きなお鍋にお水を入れて、火にかけます」
「次は、玉ねぎ!玉ねぎの香りって大好き!」
「フライパンにオリーブオイルを…このくらい。みじん切りにしたニンニクを入れて…んん!いいにおい!お腹が空いてきちゃう」
こんな具合にあるはずのないカメラを意識して飛び切りかわいいレイチェルになりきるのだ。驚いたことにあっという間にパスタは出来上がった。
「仕上げにパルメザンチーズをたっぷり!見て!すっごくおいしそう!」
食卓へ並べたらフィニッシュだ。
何とも言えない満足感に酔いしれた。
その週末、私は血色の悪い、目の下にクマのある育児疲れのおばさんではなくて、真っ赤なリップでカラフルなキッチンに立つ、豊満で肉感的ではじけんばかりのレイチェル・クーその人だった。
5歳の娘がしばらく動揺していたが見ないふりをした。

お料理が億劫な人はぜひ「レイチェルのおいしい旅レシピ」を視聴してみてほしい。新しい料理の楽しみが扉の向こうに待っている。
コツがひとつあるとすれば羞恥心を捨てること、くらいでしょうか。

また読みにきてくれたらそれでもう。