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冬休みをやりなおし

この週末、夫が久しぶりにちゃんとしたお休みを頂けたので、ようやくみっちり遊んだ。

日曜日。
朝からなぜか名古屋方面にばしばしに気持ちが向いていて、どうしても名古屋に行きたかった。
多分、iPadをついに買うことにしたからだと思う。
購入はwebでするつもりなのだけど、気持ちが最寄のアップルストア、つまりは名古屋に走り出してしまっていたらしい。名古屋と口に出すたびりんごのマークが脳裏を走っていたもの。単純。
とにかく、気持ちだけでもアップルストアに接近したかったらしい私は夫にしきりに、東山動物園でコアラプランを推しに推した。

名古屋まで車で1時間ほど。近いのだ。
だのに、どうして今まで足を運ばなかったのだろう、想像の8倍くらい楽しかったよ。
入場ゲートをくぐった瞬間に「ここ!よい!」と直感的に思った。
まず、全体の見通しのよさが最高。3人それぞれ自由な性格なものだから、とにかくすぐに見失うのだ。出かけたらだいたい私か夫のどちらかは常にだれかを探してる感じ。ところが、東山動物園は真ん中にずどんと大きな(とても大きな)通路があって、ほぼ一直線に奥へ奥へとつながっている。昨今のイオンモールのようですね。死角が少ない。

手を放しても大丈夫と言う安心感、心の衛生、私も楽しい、なのだ。

途中、ヒグマがごはんを食べていて、長女がくぎ付けになっていた。
長女はどうしても人参とみかんを食べているところが見たいと粘っていた。
息子はとにかくせわしなく、始終うろうろ走り回っていたのだけど、アシカはえらく気に入って、見入っていた。あと、ライオンをずいぶんと怖がっていた。
末っ子はキリンが「きりん!きりん!」と鳴くと何回でも言っていた。きりん!きりん!って鳴くよね、鳴く。ママ知ってる。

とにかくみんなとても楽しんでいて、素晴らしくかわいかった。
お天気も穏やかな日で、とてもよかった。
息子はモノレールに乗りたがったのだけれど、時間切れで断念。またきっと来ようね、と約束をして動物園を後にした。

せっかく名古屋に来たんだし、と、矢場とんでとんかつを食べて帰路。夫以外の全員がお泊りしたくてうずうずしていたのだけど、適当に返事を濁されたまま車は高速に乗ってしまったのでしぶしぶ心を三重県に寄せた。ホテルで朝ごはんが食べたかったという心残り。ちぇ。

翌日は、鈴鹿サーキットへ。

数日前、始業式で帰宅が早かった長女と息子と一緒に(末っ子は未満児さんなので終了時刻が異なる)少し近所を散歩したのだけど、その時に長女が
「また鈴鹿サーキットに行きたいなぁ」と言っていたのだ。
そうだねぇ、と曖昧な返事をしながらもこの時は、「でもねぇ、末っ子ちゃんがまだ小さいからなぁ、なにかと大変なのだよなぁ。あと数年はなぁ…」と億劫な気持ちが湧いていた。ところが、数年後なら…、と数年後の私たちに思いを馳せると、そこにいたのは少し大人びた、すっかりお姉さんになった長女だった。
横顔に、「家族で遊園地に行くより友達と遊びたい」と書いてある。
なんだか、ぎょっとした。数年後はもしかすると今よりうんと楽ちんかもしれないけれど、つまりそれって、同時にもう私の周りにまとわりついてはいないってことでもある。

考えながら歩いていると、ふいに息子が遠くから大きな声で「ママ―!!!」と呼んで笑った。長女も同じくして「ママ―――!」と呼んで笑っていた。
こんなふうに人目もはばからず「ママーーー!」と呼んでくれるのなんて、そうか、もうあと数年もないんだろう。この今の瞬間も数年後には取り出しては撫でまわしたくなる、思い出の一コマになるんだろう。当たり前みたいだけど、とんでもない重大事項だ。

ストライダーにまたがった長女と縄跳びを持った息子を坂の向こうから西日が照らしていて、なんだか、幸福を凝縮した絵画みたいに見えた。
数年後にはこんなふうに「ママ――!」なんてきっと呼ばないし、親よりお友達と遊びに行きたいと思うようになっているかもしれない。今、子どもたちと遊びに行かないでどうするんだ。そんな気持ちがふつふつと沸いたのだった。

そんなわけで、突き動かされるように、この週末はたくさん遊ぶ、と決めていた。
もし可能なら、鈴鹿サーキットに行けたらいいな、とも。


スペイン村以外の遊園地はほんとうに久しぶりで、当然、子どもたちは大喜びだった。
ちんまり、のんびりとした雰囲気が心地よくて、ここでもまた、なんでなかなか足が向かなかったのかなぁ、と本気で思った。
夫も同じことを思ったらしく、「年パス買おうか」と言っていた。同意。
鈴鹿サーキットこそほんと、近いんだから、もっと遊びに行かなくちゃ。

冬休み中「楽しいところ行きたい!」を連呼していた子どもたちをいなすしかなかった私のフラストレーションも解消されて、なんだかとってもすっきりした週末だった。

親なんてきっと、あっという間に彼らの視線の先から離れてしまうんだもの、もっとみんなで楽しいことをしよう。そうしよう、そうしよう。


また読みにきてくれたらそれでもう。