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あるくあし

末っ子がちゃかちゃかと歩くようになってひと月ほど。
歩くことが楽しいようでどこへ行っても抱っこから身をよじって、こちらが降ろせばしゃんしゃんと迷いなく歩いていく。
歩くことそのものが面白くて仕方がない様子。
例え3人目だって、歩きはじめの頃ってほんとうにほんとうに心の底からかわいいのだ。
今まで私の腕の中かベビーカーに身をゆだねていたほんの赤ちゃんが自分の意志でもって私を置き去りにして歩いていくのだも。
ほれぼれするやら愛しいやら生意気やらの色々が交錯する。
このそれぞれすべてを混ぜこぜにした感情はなんていうんだろうか。
例えば初めて幼稚園に行った日。
例えば初めてひとりでお泊りした日。
歩きはじめたころの気持ちによく似たものがやってくる。
愛しくて誇らしくて少しさみしくて、そしてやっぱりかわいいのだ。
私にしてみたら修行みたいに試練だらけの子育てだけれど、その中で楽しみらしいものがいくらかあるとしたら、ほとんどがこの、あれこれの混ぜこぜかわいい、の瞬間だと思う。

これから、憎まれ口も増えるし、イヤイヤも通過するし、ぐずぐず泣いたり喚いたり、逃げたくなることはたくさんあるとわかっているけれど、とりあえず今は、がに股で勇ましく歩く後ろ姿が果てしなくかわいい。
1日200回くらいかわいいって言っても足りないくらいかわいい。

マッチ棒みたいにひょろんとしていた脚に、わずかにだけど隆起した筋肉がつきはじめた。
それもまた、かわいい。


#エッセイ #子育て #育児 #歩く

また読みにきてくれたらそれでもう。