イスマイリーヤ旅行記 6 恐怖より愛を
2024年6月7日
シークと呼ばれる人たち
客間には30人は座れそうな
ソファが壁沿いに並び
その上には父、祖父、曽祖父らの
肖像が飾られている
確かに名家っぽい
30歳のアフマドに敬語で話す
53歳のヌールになぜ年下なのに
敬語で話し家臣のように振る舞うのか聞いた
アフマドの父も祖父もシークと呼ばれる
宗教的知識と人間性に特に秀でた人で
誰からも尊敬されるリーダーだったらしい
アフマドの父を師と仰いでおり
長く一家と交流を持ってきた
小さい頃からアフマドを知っているが
20歳年下の兄のような人だという
人を見かけで判断せず
本質をちゃんと見極め
善く生き、人を助ける人
お調子者な感じを見た後で
王様のような振る舞いを見たので
僕は彼をただの偉そうなやつかと思っていた
なんと底の浅いことか
恐怖より愛を
広く豪勢な客間で
アフマドと向かい合う
この家での彼の威厳は
なにも体の大きさばかりではない
エジプトにイスラム教徒はいるが
イスラム教の教義はない
礼拝や断食など示された義務をただ実行し
神の意志に近づこうとしない
断食の本質は慈悲を感じ
慈悲を与えて生きること
感謝し、感謝される行いをすることが
重要なのでああり
断食はその手段に過ぎない
行いは心の端にあって
ただそれが表面化しただけのもの
礼拝は5回行うことが重要なのではなく
礼拝していない時に如何に教えを実行するか
大切なのは日々の心構えであって行為ではない
イスラム教徒やキリスト教徒
仏教徒やユダヤ教徒
宗教の名前で人を判断するほど
神は狭量ではない
宗教に関係なく
良い行いをする人を神は評価する
宗教のラベルに神が惑わされることもないし
神の教えはそんな小さいものではない
義務をこなすだけの恐怖ではなく
人への愛の大きさを神は見ている
「恐怖よりも愛を」
ジム・キャリーがかつて演説で言っていた
僕の大切な言葉だ
アフマドはジム・キャリー並みに良いやつだ
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