見出し画像

保健師が経営大学院に進学した理由

「大学院に行ってみたい。」

そう考えている保健師も多いのではないでしょうか?

看護研究科や公衆衛生大学院あたりに進学されている方は私の周りにもちらほらいます。あとは、心理学系の研究科に進学したい人も知り合いにいます。

しかし、私は「経営学」を学びたいという保健師に今まで出会ったことがないです。おそらく皆さんもほとんどが「経営学」はちょっと違うかなと思っているはず。

そんな、保健師にとって畑違いと思われがちなマイナー分野:経営学系の大学院に進学した理由をお話しします。

簡単な自己紹介と大学院への進学動機

ここで簡単な自己紹介をさせてください。
私は人口10万人以下の小さな市で働いている5年目保健師です。
前職は集中治療室で働く看護師でした。
入庁以来、5年間ずっと特定健診・特定保健指導を始めとした生活習慣病の予防事業に携わってきました。

5年間も特定健診・特定保健指導に携わっていると、ふとした疑問が浮かんできます。

この事業、2008年からやっているけど、大して効果ないんじゃない?

健診受診率は県内市町村国保の中でも上位5位に食い込む好成績!
特保終了率も上位ではないものの平均以上を維持し、上昇傾向!

実績としては意外と健闘している我が市。
行動変容に至った人ももちろんいる。

けれど、集団でみていくと保健指導の成果があんまりみられない。
1年や2年じゃ変化ないだろうけど、2008年からやってるのに。
SMRでみると、循環器疾患による死亡は悪化傾向。
検査項目一つとっても、改善している様子もあまりない。

何か根本的なやり方が間違っているんじゃないの?

そんな思いがふつふつと湧き上がっていき、
生活習慣病の効果的な予防方法・指導方法を知りたいと思うようになり、大学院への進学を真剣に考えていくようになりました。

公衆衛生大学院に行きたい!

そんな思いから大学院への進学を希望しましたが、もちろん「じゃあ経営学だ!」とはなりません。
まだこの時点では、自分が経営学を学ぶなんてことは微塵も考えていないです。
色々と大学院を調べていくと、「行動健康科学」「疫学」「統計学」あたりの分野が学べる公衆衛生大学院が良いのではないかと。
働きながら進学できそうな学校がある。学費はまぁ何とかなるだろう。
上司に報告し、許可取りもOK!
善は急げだ!受験しよう!と思い立って、その数か月後に試験を受けておりました。

不合格からの内省

受験結果は見事に不合格でした。
元々苦手な英語がネックになっていましたが、そこはある意味想定内。
落ちたら来年の受験までに勉強しなおせばいいやくらいに思っていました。

問題は面接での受け答えの中にありました。
当然、面接官の先生方から進学理由を聞かれ、上で書いたような内容をつらつらと話していたのですが、話しながら感じる薄っぺらさ。

生活習慣病の予防が効果的にできていない現状を打破するため、大学院に行きたい。

飛躍しすぎていて、具体的に何をやるんだ?状態に陥り、
面接官の先生方にそのあたりは突っ込まれはしなかったものの、考えの甘さを見透かされてる感が漂っておりました。

ここを明確にしない限りは受からないだろうし、万が一受かっちゃったとしても、大学院での学びが有意義じゃなくなるなと思いながらも、まったくアイデアが浮かばない。
嫌気が差してきた中でみつけたのが、経営大学院でした。

保健師が経営学を学ぶ意味

経営学と聞くと、どのようなイメージを持っていますか?
私は、「企業がいかに商品やサービスを上手く売り、利益を出すかを追求する学問」だと、詳しく調べる前までは思っていました。

しかしながら、これは経営学のごく一部分を切り取ったにすぎません。

経営学は言うなれば、「革新的なアイデアを生み出し、それを持続可能な形で実装する方法を考える学問」です。(異論はあるかもしれませんが。)

アイデアをどう考え、具体化させていくか。
どう差別化していくか。
どうやって多くの人に知ってもらうか。
どうすればそれを購入したり、利用してもらえるか。
持続可能な形で実装するためには何が必要か。    などなど。

これは、生活習慣病を強力に予防するために、今までと違う「何か」を生み出し、それを多くの人に知ってもらい、多くの人に実行してもらい、習慣化する。その「何か」を具体化していくために経営学は必須なのではないかと。
公衆衛生大学院の面接で上手く答えられなかった「具体的に何をやるのか」の部分を考える手助けになるかもしれない、そんな理由が経営大学院への進学を考えたはじまりでした。

実際の現場でも、健診の受診率向上のため、マーケティングの手法を取り入れた受診勧奨が積極的に取り入れられていると思います。マーケティングこそ真新しい学問分野ではありませんが、それを健診の受診勧奨に応用するという視点は「今までと違う何か」そのものだと思っています。
まったく未知の「何か」もあるだろうけど、他の分野では当たり前に使われている「何か」が、我々の分野では有効だったりするかもしれません。経営学を学んでいくことは、その「何か」を知るためにヒントになるのではないか、そう考えると可能性は無限大です。

また経営学では、組織をどうマネジメントするとスムーズに運営ができるかといったことについても扱います。
具体的には、職場という組織をどうすれば働きやすい組織に変えることができるのか、だったり。より保健師っぽく考え、組織を地域と置き換えれば、どう地域をマネジメントしていくと、より良い地域に変えることができるのか、だったり。

経営学を知れば知るほど、保健師として活動する上でヒントになりそうなことばかり思い浮かびました。

皆さんの業務を少し良くするかもしれないヒントが隠れた経営学。
もしかすると、我々の常識を揺るがす画期的なアイデアを思いついちゃうかもしれない可能性まで潜んでます。

どうですか? 
この気持ち伝わってますか? 
学んでみたくなりませんか?

それに、MBAホルダーの保健師ってカッコよくないですか?笑
この際一緒にMBAホルダーを名乗ってみませんか?

これを読んで、少しでも経営大学院に興味をもってもらえたら嬉しいです。


次回以降、いつになるかわかりませんが、大学院での学びのことについて記事にしていこうと思いますので、ご期待ください。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?