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鬼滅の刃の終了と、コンテンツとしての漫画

こんにちはtorajaです。最近の漫画産業の変化について思うところがあるので書こうかなと思い立ちました。

評価を得たものは中々その評価が覆らない。特に、アニメ、ドラマ、漫画といった作品においては顕著なもの。

記憶に新しいのだと、新型コロナウィルスの影響で再放送された
「野ぶたを、プロデュース」
「ハケンの品格」
「逃げるは恥だが役に立つ」
「仁」
それらは軒並み10%を超える高視聴率を記録して

「新しいドラマやる意味ないんじゃないか」なんて意見も出てきた。

ドラマ脚本家の方からすれば複雑な気持ちだと思うが、
それでも「好きなものは何度も見たい」「良いものはいい」それは当たり前なものと思う。

漫画はコンテンツへと変化する

特に近年の漫画コンテンツ産業では新規を取り込む事よりも、今あるものを活かす流れが主流になってきていると思う。

面白いものが生まれなくなっているから、そうした意見も存在しているとは思うが、それよりも大きな理由が本業である出版業からの変革だろう。

大手、含め全ての出版社に置いて紙媒体の業績下降は問題となっている。
「作品を作り出す」→「本が売れる」→「出版社の売上」
という単純な構造であった今までの業務から、「本が売れない」ことだけで経営は破綻する。もちろん本が全てなくなることはないし、作品が全て電子化されるといったこともないだろう。
しかし、現実として売上は必要なのだ。

そうした時に、出版社が持つもの、それは自社が作り上げた作品たち。
それを利用し、時には他と繋がることで新しい価値を生み出そうとする。

『鬼滅の刃』のコンテンツ力

それを実感させる出来事が5月に起こった。

それは集英社「少年ジャンプ」で人気絶頂のまま『鬼滅の刃』が連載終了したこと。

本作品5月11日発売週間少年ジャンプ第23号の、「次号超クライマックス」という煽りが物議を醸した。
「次が最終回ではないのか」
「ここで終われば神作品」
「終わって欲しくない」

Twitter上で意見が飛び交う中、迎えた次週、5月18日週刊少年ジャンプ第24号。『鬼滅の刃』完結。

今までの週刊少年ジャンプを購読していた読者からしたら、あり得ない出来事だっただろう。

「作品は引き延ばされるもの」常識だ。

『 DRAGON BALL』の17巻から「もうちょっとだけ続くんじゃぞ」とその後25巻連載されたことも、
『デスノート』で宿敵Lを倒した後の出てくる、ニアとメロも、
『るろうに剣心』の志々雄のあとの雪代縁も、

ジャンプを支える看板作品がなくなることを、恐れた引き伸ばしと言われている。

『鬼滅の刃』は去年から人気が爆発し、売上6000万部超え、初版部数230万部と確実にジャンプの次世代看板を張る作品であった。

それが引き伸ばしを感じさせずに終わらせる決断は、つまりは作品の価値を落としてまで連載を継続させることよりも、生み出された作品コンテンツを拡大させることで利益にしていこうと思ったのだろう。

cafe、菓子のパッケージ、アニメ映画、スピンオフ作品。ありとあらゆるコラボで作品は継続して愛される。

これは作者としても、読者としても、ファンとしても最善の選択だと思う。
もっと『鬼滅の刃』については話たいところだが、本記事ではここまでにしておこう。

終わりに

漫画作品は世界を魅了するほど大きな力を持っている。
今はYouTubeや SNSを通して誰もが好きなものを好きな時に見ることができる時代。以前は、マイノリティーだったかもしれないオタクという存在はもういない。好きなものを、同じ考えを持つ人と語り合うことができるのだ。

これからも、作品は消耗品ではなく、読者の一人一人にとって一生付き合っていくコンテンツへと変化していく。

一個人として作品が長く愛されることはとても嬉しく思う。

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