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【毎週ショートショートnote】に参加『告白水平線』

皆さま、こんばんは。
始めましての方、「初めまして」
PJと申します。
今回、表題の通り『たらはかに(田原にか)』さんの【毎週ショートショートnote】に参加してみました。

経緯といたしましては、私の方で現在進行形の企画【#曲からストーリー】に『yuhi(ゆひ)』さんが、『たはらかに』さんのイベントとダブル参加してくれたことがきっかけです。

お題が『告白水平線』約410文字程度でしたが、結局500文字近くになってしましました。
少しオーバーですが参加させてくださいm(__)m

告白水平線 / 著PJ 約500文字


「私を殺してほしい」
 夕日が沈みつつある水平線を見ながら、私は一人そうつぶやいた。
 『女は常に強くありなさい』と母は言った。
 そんな母は私が高校生の時に、私と父を置いて一人で逝ってしまった。
 そして私は父を避けるように隣の件の大学に進学した。
 別に父が嫌いだったわけじゃない。ただ、あの家にいたくなかっただけだ。
 父は母を愛しすぎていた。
 『なあ、ユキ。お父さんは弱い人間だ。お母さんがいなくなって、お父さんはこれからどうやって生きていけばいいかわからないよ』と、父は思春期の娘の前で泣いた。
 お母さん、女は常に強くなきゃいけないの? 男は弱くていいの?

 私は水平線にもう一度つぶやいた。
「私は彼と恋に落ちました。彼には家庭がありました。割り切っていたはずなのに、だんだん弱くなる自分を感じました」
 繰り返す波が何度も打ち寄せ、私の靴は砂に沈んでいった。
 今になって、父の心がわかるような気がした。
 結局、私の方からは離れることはできないのだろう。

「いっそのこと私を殺して」
 男がその問いにどう答えるか私は聞いてみたいと思った。
 私は、夕日が沈みゆく中、カバンからスマホを取り出し彼の番号を呼び出した。

《終》

【#曲からストーリー】のご案内


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