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【#9】Dr.タカバタケと『彼女』の惑星移民【創作大賞2024参加作品】
【本編連載】#9
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『西暦3220年3月28日 入所式の日 地球 コシーロ研究室』にて
テキスト技術。これは脳に入れられたチップを通じて情報を交換する方法だ。
視覚的には空中に情報が浮いているように、感覚的には脳裏に直接流れ込んでくるように感じる。
僕は、基本的には自分の脳内チップでのオンライン活動はしない。眼鏡型の外部機器を使う。
人に頭の中をのぞかれているようで嫌だからだ。
しかし、こういうクローズの場合なら、望みはしないが、話が速いので使うこともある。
もちろん脳内チップにはキーロック機能があり、解除区画の情報のやり取りしかできないように、法令上もシステム上もしっかりとしたセキュリティの中で作動している。
ローカルネットワークをつないだ時、またもや空間が歪んだような感覚が僕を襲う。
違和感の原因はスーパーAI『Super Highest Earth』によるものだという気がしたが、それを考える前に、脳内チップを通じて、各位の情報が流れ込んできた。
コシーロ・ガート 56歳 出身 新ヨーク国。
AC.TOKYO筆頭教授。
政府とのパイプも豊富で、世界的な宇宙学の権威。
『宇宙の果てを知る男』という異名を持つ。
教授が「現実じゃ10光年も進めない我々が何を言えるのか!」と怒りながら講演しているヴィジョンは有名なようだ。
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ユミ・クラ 40歳 出身 ネオジャパン。
AC.MUSASHINOの教授であるが、今期より臨時助教授としてコシーロ研究室に召集。
専門は音楽史と笛演奏。
コシーロ氏とは婚姻関係にある(6人による婚姻関係でその全員が世界屈指の天才学者)。
優しく柔和で、どの分野においても教養が深く、バランス感覚がよい。衝突の多い天才たちのパイプ役のようだ。
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ヤマバ・ムラ 28歳 出身 ネオジャパン。
中途採用学位研究員。
β(ベータ)チルドレン首席終了。
先日まで世界トップの機械総合メーカー『リコウ』の宇宙開発部最年少主任だった、いわゆる現場引き抜きの研究員。
座右の銘は「為せば成る、成らぬは人の弱さなり」
政府からの要請で急遽このコシーロ研究室に招集された。
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アンジョー・スナー 14歳 出身はキーロックがかかって不明。
驚異的な学力。特に遺伝子学・生物学に強い。またプログラミングの天才。
謎の天才ハッカー・エンジェルとの説があるが本人は否定。
チルドレンではなく、私邸で育ったとされているが、キーロックのため不明。
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最新最速人型AI『Super Highest Earth』の情報はほとんどなかった。
すべてキーロックがかかっていた。前情報である、各国が協力して開発した、最新人型AIということしかわからなかった。
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僕の意識は『Super Highest Earth』に集中していた。
『Super Highest Earth』が完成後、この研究室に配属されたのは、世界最高峰の頭脳である、コシーロ教授がいるからであろう。
でももしかしたら、それ以外にも何か理由があるのかもしれない。
各国の政府の連携でも、太陽膨張の期限に対して殆ど打つ手がないという噂がある……。
次の瞬間に僕の耳に美しい声が滑り込んできた。
「略称S・H・E(エス・エイチ・イー)、私のことはシーと呼んでください」
その声は、まるで天使が舞い降りたかのように、神々しく柔らかく、僕の頭蓋骨の中でやまびこのように響いた。
その声をきっかけに、ローカルネットワークが切れると、教授は教壇に回り込み、両手をついて大きな声で話し始めた。
「それでは実際の研究は明日から少しずつ始めよう。
この研究室にS・H・Eが配属になった理由は、人類が生き延びるためだ。
皆、昔から習っているように、太陽膨張による人類絶滅の期限は間近に迫っている。
研究から実用を考えた場合、間に合わすだけの時間はあるのか?
私はあると思う、あると信じている。
この研究室が人類存続の最後の砦だという気持ちで明日からあたってほしい。
もちろん世界中で同時に研究が進んでいる。
私は各地との連携をベースに指示を送るつもりだ。
しかしながら、新しい抜本的な発見がない限りは太陽膨張を回避できない。
そのうえで言おう。
『我々ならできる』
この新設された研究室は特殊な使命を持っている。
首相の要請で作られた組織だ。
メンバーはそれを期待された人員のみで構成されている」
まるで大きなステージで演説しているかのように、強く語り掛ける迫力と、想いの乗った言葉だった。
「なるほどねぇ」と、隣からヤマバさんが呟く声が聞こえた。その声はなんだか嬉しそうに聞こえた。
#10 👇
6月1日17:00投稿
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【語句解説】
(別途記事にしていますが、初回登場語句は本文に注釈してあります)
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