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富士登山(準備編)

日本で一番有名な山は?

このように聞かれたら、まず一番初めに名前があがるであろう山、富士山。世界遺産に登録されたというニュースを耳にしたこともあるのではないでしょうか。

では、富士山は文化遺産・自然遺産どちらに登録されているのか知っていますか?

正解は…

文化遺産。


というのも、富士山は『富士山ー信仰の対象と芸術の源泉ー』という名称で2013年世界遺産に登録されました。そして、富士山だけではなくそれに関連する25の関連資産を全て含めて”世界文化遺産”として登録されています。

ではいったい「ー信仰の対象と芸術の源泉ー」とはどのようなことを指すのでしょうか。

世界文化遺産としての富士山

○信仰と富士山
富士山は古来、度々噴火をしていたことから、富士山を祀ることでその噴火を納めようというという、信仰の対象として一面を持っていました。この、自然に存在するものを祀ることは「八百万の神」や「いただきます」「ごちそうさまでした」にも繋がっています。

そして、富士山は山という存在が信仰の対象、そして修行の場となり“富士信仰”や“富士講”というものが生まれました。これが、「ー信仰の対象と芸術の源泉ー」の信仰の対象にあたる部分です。

○芸術の源泉
葛飾北斎の『富嶽三十六景』や歌川広重の『東海道五十三次』などに富士山が描かれているのはみなさんもご存知でしょう。

葛飾北斎『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』世界遺産富士山とことんガイドより

そして、この浮世絵は海を渡りヨーロッパの画家たちにも強い影響を与えています。その例として、有名なのがゴッホが書いた『ダンギー爺さんの肖像』です。

ゴッホ『ダンギー爺さんの肖像』世界遺産富士山とことんガイドより

このように、富士山は世界からも「FUJIYAMA」として呼ばれるようになり、日本を象徴する山となりました。芸術の源泉としての富士山もとても魅力的ですね。以上が、信仰の対象としての富士山と芸術の源泉にもなった富士山が、文化遺産に登録された背景です。

なぜ富士山に登るのか?

現在、私は大学で「富士講」という富士山を信仰の対象にしていた人々についての卒論を書くために、勉強をしています。

私は出身が静岡で富士山が身近にある環境で育ちました。静岡から引越しをした今でも、東京や神奈川など少し離れた場所から富士山が見えると地元に帰ったような安心感を感じます。どこから見ても変わらずそこにあり、どっしりと構えている姿がなんとなく心地が良いなと思うからです。

そんな話を、静岡に住む祖母に話したところ、「昔は富士山を信仰の対象にしていた人たちがいたんだよ」と教えてもらい「富士講」というものの存在を知りました。

大学で歴史学を専攻してから、できれば祖父母や両親にも身近にある話題を卒業論文として書いて読んでもらいたいという思いがあったため、その話を聞き「富士講」について学ぼうと決心しました。

近所から見える富士山

しかし、その富士講の人たちが憧れていた富士山に私はまだ登ったことがありません。論文を書くのに富士山に登ってないのは、富士山や富士講の人たちに失礼なのではないかと思い、今年の夏、富士山に登ることを目標に準備をしてきました。

その記録として、ここでは富士登山を準備編・前編・後編に分けて書きたいと思っています。

次の回は、富士登山(前編)をお送りします。


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