空間的注意の加齢変化：EEG研究が明かす脳の適応メカニズム

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1053811917302598?via%3Dihub

はじめに

私たちの脳は、周囲の空間をどのように認識し、注意を向けているのでしょうか？そして、その仕組みは年齢とともにどのように変化するのでしょうか？今回は、Learmonth et al.（2017）の興味深い研究を紹介します。

研究の背景

偽無視現象とは

若年成人では、空間的注意が左側にわずかに偏る「偽無視（pseudoneglect）」という現象が知られています。これは、右半球の優位性を反映していると考えられています。

加齢による変化

高齢者ではこの左側への偏りが減少または消失することが報告されていますが、その詳細なメカニズムはまだ解明されていません。

研究の概要

この研究では、若年群と高齢群を対象に、ランドマーク課題（水平線の中点を判断する課題）を行いながらEEG（脳波）を記録しました。

主な結果

1. 若年群では長い線で左側への偏りが見られましたが、高齢群では見られませんでした。

2. EEGデータでは、若年群で右半球優位の活動が観察されましたが、高齢群ではそのような半球差が見られませんでした。

この研究の意義

この研究結果は、加齢に伴う脳の適応メカニズムを示唆しています。高齢者の脳は、空間的注意処理において若年者とは異なる戦略を採用している可能性があります。

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