見出し画像

ストレッチ②効率の良い伸長時間と黄金ルール4!

ストレッチ、どれくらい伸ばせば良いのか知っていますか?
ストレッチには効率をあげるためのルールがあること、知っていますか?

ストレッチシリーズの第二弾です。効率的に伸ばせるストレッチ時間の考え方と、4つの黄金ルールをお伝えします!このルールを守っていないと、非効率でもったいないですよ。

---ストレッチシリーズ---
ストレッチ①-ストレッチを始める前に知っておくと得すること-
ストレッチ②効率の良い伸長時間と黄金ルール4!
ストレッチ③基本手技と効果抜群の裏技手技
ストレッチ④-実践!体幹と肩関節のおすすめ10-
ストレッチ⑤-実践!股・膝・足・手関節のおすすめ14-
ストレッチ⑥-ストレッチに関する論文をひたすら集めてみた-
ストレッチ⑦-柔らかくなった身体を維持する-

最適なストレッチ時間はない!?

ストレッチに関してよくある質問で、「どれくらいの時間をかければいい の?」というのがあります。これの答え、実は結論はありません。人によって違うし、伸ばす箇所によっても変わってきます。

実際研究データも「6秒以上」という報告もあれば、「30秒程度」がいいというものもありますし、 他にも「4分」やるのがいいといった論文もあって一定していません。
Domimguez RH:ストレッチングを巡る諸問題.Sports medicine Quartery 18:61-72,1995
山崎裕司,市川祐生・他:下腿三頭筋に対するストレッチ時間と効果の関連.高知リハビリテーション学院紀要16,35-37,2015

他の視点から調べているもの、例えばストレッチにより筋緊張が改善すると筋肉の血流が増加するというものもあります。同時にまた別の研究では、

ストレッチをすればするほど血流が上がるというわけではなく、45秒のストレッチングで血流増加を認めるものの、 90秒のストレッチは逆に低下すると述べられています。
木村直人,岩根久夫・他:筋疲労回復の及ぼすストレッチングの効果 近赤外分光法による評価 .体力科学41(6):684,1992

そうなんですよね…困ったものでストレッチの効果的といわれる時間は研究によってほんとバラバラなんです。

つまり今のところストレッチの正しい時間について正解はないということになります。何故ここまでばらつ きが出てしまうのかと言いますと、人によって違うし、伸ばす身体の部位によっても違うし、硬くなっている原因によっても違うからです。人によってストレッチ時間が違うというのは、少し神経質な方で筋肉がこわばりやすい方は普通の人よりもゆっくりじんわり伸ばす必要があるわけです。

ストレッチの時間について、完全な正解はありません。 僕ら理学療法士がストレッチをする場合は、「その筋肉が伸びてくるまで伸ばす」というのを基本に行っています。そのストレッチのとき、同じことをしていても人によって反応するスピードが全然違うんです。 そういうわけで、たまにストレッチ系の本に載っている「○○秒やるのが効果的」という言葉。あれにきちんとした根拠があるわけではないので、 あくまで参考に捉えた上で、いろいろ試しながら実感として伸びやすい時間やってあげるのが良いでしょう

それでもストレッチ時間の参考を知りたいなら!?

そのストレッチの時間に関して、一定ではないとはいっても参考になるものは欲しいですよね。先ほどから述べているとおり、ストレッチの時間に正解はないのですが、ストレッチの時間に全くルールがないわけではありません。

-筋肉のストレッチ-
例えばふとももの筋肉を伸ばす場合、その筋肉はとても太くて大きいです。なのでその太い筋肉を伸ばすためには他の部位に比べればしっかり時間をかけて伸ばしていく必要がありますし、それと比べて首の筋肉など細い部分ではもっと時間を短くしても大丈夫。

私の印象では太腿の筋肉なら1-2分、首の筋肉なら10- 20秒ってところでしょうか。それだけ行えばある程度伸びてくれる場合が多いです。

これが一般的なイメージでいいのですが、筋肉が普通の状態じゃなくて、こわばっている場合は変わってきます。身体に力が入りやすくて抜けにくいケースですね。

それに寒い季節では筋肉が冷えているためにこわばっているケースもあります。こういった場合、筋肉に力が入ったまま伸ばそうとしてもなかなか伸びてくれません。リラックスしてようやくきちんと伸びていくのですが、そのリラックス出来ているかどうかを無視して力いっぱい伸ばしてしまう方はあまり効果的なストレッチをしているとは言えないでしょう。

ですので、リラックスした状態で筋肉が伸びていくのを感じながら一定時間(あまりその長さに捉われずに)伸ばしてあげる。それが必要になってきます。 身体が硬い原因が筋肉であればストレッチの時間はそんな感じですが、原因が異なる場合は別です。

-関節包のストレッチ-
前回の記事で、関節包が硬いと身体が硬くなると書きました。
ストレッチシリーズ①-ストレッチを始める前に知っておくと得すること-
(この記事の「身体が硬くなる原因」の項目)

筋肉についで身体を硬くする大きな原因の関節包。 関節包が硬くなっている場合はもっと時間をかけてストレッチをする必要があります。 僕の経験ではありますが、5分程度は欲しいですね。場合によっては20 ~ 30分やることでより効果が現れます。この20-30分はプロロングドストレッチという名前がついていて、「身体を伸ばすために効果的」としてしっかり研究データもあります。

まぁ普段のストレッチで1箇所に30分もかけるのは少し現実的ではないので、より長くやることで効果が出る。そう覚えて頂ければ大丈夫です。ちなみに関節包が硬いかどうかの見分け方はちょっと難しいので...筋肉のストレッチをしっかりやっていても、身体が柔らかくなってこない場合に、長めの時間のストレッチを試してみるといいですよ。

ストレッチの参考時間、筋肉の項目とまとめると
・首や腕などの細い筋肉 20 秒以内
・脚などの大きめの筋肉 20 秒~5分
・関節包などの組織 5分以上

といった形で伸ばしていけるといいですね。

ストレッチで大切にしたい4つの黄金ルール

ストレッチの黄金ルール①-固定する-

まず1つ目は「固定する」ということです。

「伸ばすのに固定?」

と思った方もいると思いますが、そうなんです、固定です。筋肉がついてる両端のうち、片側の固定が大事。 わかりにくいので例を出すと、石を飛ばすパチンコ。

スクリーンショット 2020-08-10 17.55.02


図:以前BOZUがデザイナーさんに作ってもらったものを使用

これでゴムを伸ばす状態を考えてみてください。持ち手の方を固定することで、安定して石を伸ばすことが出来ますが、持ち手がぐらついていたらゴムは上手く伸びてくれません。結果、石もあまり飛んでくれないのでダメダメになっちゃいます。

ストレッチも一緒で、固定する関節と、動かす関節に分けて考える必要があります。意識的に動かす側と固定する側を決めてストレッチしましょう。見落としがちですが、意外と大切なポイントです。

ストレッチの黄金ルール②-伸ばす部分を意識する-

次に大切なポイントは、伸ばす部分を意識してあげること。 例えばこのストレッチ。

スクリーンショット 2020-08-10 17.55.13

どこの場所を伸ばしているかわかりますか?そう、太腿の前側ですね。実は、「そこを伸ばしている」という意識があると筋肉は緩みやすいんです。 意識を向けて身体を変えるっていうのはある意味脳科学の応用です。感覚というのも鍛えられますのでしっかり伸ばす箇所を意識してストレッチしてあげてください。

このストレッチの時上半身や骨盤が動かないように気をつけて下さいね。さっき述べた「固定」を忘れずに…。

ストレッチの黄金ルール③-呼吸をしっかり-

ストレッチする時はみなさんしっかり呼吸出来ていますか?
呼吸することでリラックスに繋がるのでより伸ばしていくことが出来ます。

たまにしっかり伸ばそうと頑張りすぎて息が止まっている方を見ますが、非常に勿体無い。ストレッチの中でゆっくり伸ばしていきながら、息を吐くごとに身体を少しずつ遠くへ伸ばしていく。呼吸によって自律神経にも働きかけ、リラックスすることが出来ます

実際、呼吸と脳波の関係を調べた実験でも、不安感が強いほど呼吸は短くなっていき、リラックスしている状態であれば呼吸はゆっくりな状態になっていくことが証明されています。 そして自分で意識的にゆっくりとした呼吸を行うことでも不安度が下がり、リラックスした状態に変わることが明らかになっています。

リラックスは筋肉が緩むための大切な要素。ストレッチを行う時には意識的に呼吸をするようにしましょう。

ストレッチの黄金ルール④-順番は体幹から-

そして最後はストレッチの順番です。 腕、体幹、脚。どれからやるのが一番効率的かわかりますか?

・・・

・・・

・・・

正解は、体幹です。体幹の柔軟性を上げるだけで、実は腕や脚の柔軟性が上がるんです。身体をねじる柔軟性が上がれば肩甲骨と腕の動きが良くなり、骨盤の動きが良くなれば股関節が動いてきます。全身の余分な緊張 が取れるので、腕や脚も力が抜けやすくなってくれるんですね。残りの腕と脚の順番はどちらからやってもらっても大丈夫。 とにかくまずは体幹からストレッチを行う。そう覚えておいて下さい。

余談ですが筋トレをする場合は順番が変わります。基本的には脚→腕→体幹。
先に体幹のトレーニングをすると、その体幹の固定力が失われて身体がグラグラしてしまいます。身体がグラグラな状態で腕や脚を鍛えようとしても効率的ではありません。なので筋トレは体幹を最後にやる必要があります。あとは腕と脚。脚の方の筋肉が大きく発達していますよね。その大きな筋肉を動かすには、大きなエネルギーがいるので体力のある初めのうちに脚のトレーニングをやる方が、より効果が得られますよ。

-ストレッチ黄金ルールの復習-

スクリーンショット 2020-08-10 17.55.21

効果的なストレッチのためには、
①固定
②意識
③呼吸
④順番
ですよ!!

と、いうことで今回の記事は
「 ストレッチシリーズ②効率の良い伸長時間と黄金ルール4!」でした!
効率の良いストレッチで、しっかり身体を伸ばしましょう。

---ストレッチシリーズ---
ストレッチ①-ストレッチを始める前に知っておくと得すること-
ストレッチ②効率の良い伸長時間と黄金ルール4!
ストレッチ③基本手技と効果抜群の裏技手技
ストレッチ④-実践!体幹と肩関節のおすすめ10-
ストレッチ⑤-実践!股・膝・足・手関節のおすすめ14-
ストレッチ⑥-ストレッチに関する論文をひたすら集めてみた-
ストレッチ⑦-柔らかくなった身体を維持する-

あなたのためになったんだなと思い、幸せな気分でビールを飲みます!ありがとうございます。