大学で心理学を学ぶのに数学の知識はいらない
大学で心理学を学んでみたい高校生
大学で心理学を学びたいと思う高校生なら
「心理学を学ぶには数学や統計学が必要」
という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。そして、数学が必要というだけで、心理学部に進学することを諦めてしまった人もいるでしょう。
結論から言うと
大学で心理学を学ぶ時に、数学は使いますが高校までの数学ができなくても全く問題ありません。なので、安心して心理学部に進学してください。
そうは言っても、どんなことをするのか分からないままだと不安だと思うので、今日は実際に心理学で数学を使う場面を紹介し、どれだけ簡単かをお伝えしたいと思います。
大学の心理学部で使う数学
心理学で数学を使う場面は「データの解析」の時です。
では、実際にどのように解析を行うのか簡単な具体例を出してみましょう。
例えば、「日本人とアメリカ人の平均身長はどっちが高い?」と言う疑問があったとしましょう(調べるまでもなく、アメリカ人の方が大きいでしょうが、あくまで具体例です)。
日本人とアメリカ人の平均身長を比べるには、全国民の身長を調べて比べれば良いですよね。でも、現実には何億人もの身長を計測することは現実的ではないですね(例えば、「ある現象を調べたい」と思った時に、一億人から血液を採取して調べるのはほぼ不可能ですよね)。そこで、科学実験では身長計測において、日本代表とアメリカ代表を何人かずつ選んできます。例えば、日本とアメリカから10人ずつ選出してきたとしましょう。そうすると、下の図のように10人ずつの身長が手に入りました。
日本人とアメリカ人の10人分の身長
このデータからすると、日本人の平均身長は171cmでアメリカ人は184cmです。やっぱり、アメリカ人の方が大きいですね。でも、ここで一つ問題があります。今回、適当に選んできたアメリカ人がたまたま背が高くて、日本人がたまたま背が低かった可能性もありますよね。
数学を使って、アメリカ人の方が背が大きいことを示す
そこで、数学の出番です。数学(統計学)を使って、たまたま今回「背が高いアメリカ人と背が低い日本人から身長を測ってきた訳ではないこと」を示します。計算式はこんな感じです。
「ええええええ、数式が出てきた〜〜〜、わからない〜〜〜」と思った方もいるかもしれませんが、この数式を理解する必要もないですし、テストで解く必要もないので安心してください。実際にはパソコンが計算をしてくれます。プログラミングをしても良いですし、自動で計算してくれるソフトもあります。計算すると、今日は理解する必要はありませんが下のような計算結果が出力され、「アメリカ人の方が背が高いですね」と言うことが数学的に計算されました。ここまでやってはじめて、科学実験と言えます。
```jsx
[ As-Type Design ]
== Mean & S.D. ( SD=sqrt(Vtotal/N) ) ==
A= A
------------------------------------------------
A N Mean S.D.
------------------------------------------------
1 10 170.8000 5.8103
2 10 184.4000 6.9742
------------------------------------------------
== Analysis of Variance ==
S.V SS df MS F
------------------------------------------------
A 924.8000 1 924.8000 20.20 **
subj 824.0000 18 45.7778
------------------------------------------------
Total 1748.8000 19 +p<.10 *p<.05 **p<.01
== EffectSize ==
effectsize f
------------------------------------------------
A 1.0594
------------------------------------------------
Large=0.4 , Medium=0.25 , Small=0.1
_/_/_/ Analyzed by js-STAR _/_/_/
[クラスカル・ウォリス検定]
A N Mean S.D. MAX MIN 平均順位
-----------------------------------------------------------
1 10 170.8 5.81 180 160 6.25
2 10 184.4 6.97 198 175 14.75
-----------------------------------------------------------
統計量H = 10.34
df = 1 , p<.01
-----------------------------------------------------------
```
終わりに
いかがだったでしょうか?心理学部では確かに、このように数学を使います。でも、高校までの数学と違って、方程式を解く必要もないですし、難しい公式を暗記する必要もありません。なので、心理学に興味があるけど数学が不安だなと思っている方は安心して心理学部に進学してください。
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*今回は数学が苦手で心理学部に進学するか迷っている高校生を対象としたため、本日の解説は数学的に正しくない表現をしている箇所もあります。
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