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自動運転技術をおさらい|LiDAR SLAMとは?

こんにちは!
車やロボット、ドローンの自動運転開発でよく聞く技術『SLAM』。
今回は、SLAMの一種類である「LiDAR SLAM」についておさらいします。

そもそもSLAMとは

SLAMとは、「Simultaneous Localization and Mapping」の頭文字をとった略語で、日本語ではスラムと呼びます。SLAMとは、Localization(位置特定)とMapping(地図作成)を同時に行なうことを指します。わたしたちが旅行先で目的地に行くには、周辺環境の地図と、自己位置を知る必要がありますよね。同じように、敷かれたレールの上を走行するのではなく、自律走行するロボットにとって、周辺環境の状況と自己位置を知る必要があるのです。そこで、ロボットが地図を頼りに自分の位置を特定しながら自律走行できるように生まれた技術が「SLAM」です。

SLAMは3種類に分類される

SLAMは、大きく分けて下記の3つに分類されます。
・LiDAR SLAM
・Visual SLAM
・Depth SLAM

LiDAR SLAMはLiDARを用いたSLAMで、Visual SLAM / Depth SLAMはカメラを用いたSLAMのことを指します。
今回は、LiDAR SLAMの特徴や強みについてまとめてみました。

① LiDAR SLAMとは

LiDAR SLAMとは、その名の通り、LiDARを使ったSLAM技術です。
LiDARから取得した点群データをもとに、高精度の自己位置推定および高精度の地図作成を行なえます。

LiDARはカメラよりも測定可能な距離が長いため、遠くの物体検知も可能です(数百m先の物体まで検知できるLiDARに対し、カメラは数十m先の物体しか検知できません)。したがって、LiDARかつLiDAR SLAMは高速度で移動する自動運転デバイスで用いられています。

LiDARは、ビジョンに頼らずレーザーを使って周辺環境を把握するため、カメラが苦手とする夜間、暗い場所、および照明条件が変動する場所での物体検知にも優れています。カメラを用いたSLAMの場合、雨、雪、霧、塵など視界を妨げる外部要因によってSLAMの性能が下がりますが、ビジョンに頼らないLiDARの場合は、雨、雪、霧、塵などの外部要因に左右されない安定したSLAMが可能です。

LiDARは、カメラと比べて、動く物体が多い場所での自己位置推定にも適しています(詳細については後日Visual SLAMの記事で後述します)。
一方、LiDAR SLAMに唯一欠点があるとしたら、構造特徴に乏しい場所(トンネル等)での性能にあります。トンネル等で走行する場合は、カメラと組み合わせてSLAMを行なうことで、SLAMの安定化を図ります。

② LiDAR SLAMに適しているシーン

上記に挙げたLiDARの特徴をもって、LiDAR SLAMが適しているシーンを以下にまとめてみました。A、B、Cのいずれかに当てはまる場合には、LiDAR SLAMがおすすめです。
A. 屋外、もしくは人の多い場所を走行するか?
B. 視界が悪い場所(雪・塵が多い場所など)を走行するか?
C. 照明条件が変動する場所を走行するか?

・遠くの物体を素早く検知する必要がある「自動運転車」
・夜間かつ悪天候下でも稼働する必要がある「屋外走行型ロボット/AGV」
・塵かつ照明条件が変動する工場で走行する「自動運転デバイス」
(たとえば人の有無によって点灯・消灯が繰り返される屋内)を走行する自動運転デバイスには、LiDARかつLiDAR SLAMが適しています。

③ LiDAR SLAMで使用されるセンサー

LiDAR SLAMで使用されるのは、2D LiDARもしくは3D LiDARです。2D LiDARと3D LiDARはどちらも点群データの取得が可能ですが、両者の違いとしては、取得できる点群データの形式にあります。

2D LiDARで取得できるのは2D (X、Y座標) の点群データ、3D LiDARで取得できるのは3D (X、Y、Z座標) の点群データです。3D LiDARはタテヨコに加えて奥行きも測れるため、2D LiDARより高精度の自己位置推定を可能にします。

※SLAMで導入実績多数の3D LiDARセンサーとして、米国Ouster社のLiDARが挙げられます。日本では、以下の販売サイトから購入可能です。↓

以上、LiDAR SLAMについてのまとめでした!
次回はカメラを用いたSLAM(Visual SLAM、Depth SLAM)についての記事をアップしますので、よければぜひ併せてお読みください~!

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