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HSPのわたしが苦労の末に身に付けた自己肯定感を高める方法

こんにちは。
私はHSP(HSS型)でNPO法人で心理カウンセラーをしています。
今日は、5/31の「生きづらいHSPの私が苦労の末に知った生きやすさの秘訣」の連載記事になります。先回の記事もご興味ある方は、よかったら下記よりご覧をくだされば嬉しいです。

わたしは、HSP(英:highly Sensitive Person)ゆえに、神経が敏感で自信がなく小さい頃は学校で一度も挙手をしたことがありませんでした。

物心ついた頃から両親が共働きで常に不在でしたが、もっと悪いことに6つ上の兄は暴君で家の中の恐ろしい支配者でした。その為わたしは、両親が離婚する17歳まで、生きた心地がしないような家庭環境で暮らしていました。

両親の離婚後、アルバイトをしながら高校の授業料を払いやっとの思いで卒業することができました。わたしにとって両親は反面教師でしたので、社会人としての振る舞いや結婚相手選びを教わったことがありませんでした。

両親と共にいた17年間、一言もこどもの将来を案じる言葉をもらったこともありませんので、わたしの若い時期の人生は、不安の渦中で自ら失敗して学んでゆく苦いものでした。

しかし、心理学に触れ人生をじぶんでコントロールする方法を学び、アーロン博士からは(著書:ささいなことにもすぐに動揺してしまうあなたへ)、自分の本来の資質は外向的なこと。

こども時代の成育環境の要因で健全な自尊心を培えなかったと気づかされ、自分のもつ過敏な特質について学べました。

それは、わたしにとって転機であり本気で自分の問題に向き合うことの出発でした。

では、私たちHSPまたは非HSPが、人として必要な自尊心と自己肯定感を大人になった今どう身に付けたらよいのでしょうか。

わたしにとっては、最大の勇気を必要とするお恥ずかしい自己開示を含めたこの記事が、あなたの人生に少しでも参考になれば心から幸いに思います。

環境がつくる自信

HSPであろうと非HSPであろうと、健全な自尊心をもった大人に成長するために幼少期の環境はとても大事です。

アーロン博士も、「困難なこども時代を過ごしたHSPは大人になってからうつ状態や不安感にさいなまれやすい。」ことに言及しています。

しかし、どんな体質であっても、良い環境によって健全に育つ実例を一つご紹介します。

チャールズは、幼少期から超敏感なHSPのこどもでした。チャールズの両親はそのことを喜び受け入れました。他のこどもと一緒に遊ぶことよりも勉強を好むチャールズを両親は𠮟ることなく、もっといろいろと勉強するように促し提供ました。

そして、大人になったチャールズは、アカデミックな仕事に就き、並外れた才能を持つピアニストにもなっていました。

何千人ものHSPの調査をしているアーロン博士は、チャールズとのインタビューでこのように述べています。

こういう環境で育ったチャールズは自分を信じていた。小さい頃から素晴らし美意識と倫理観を育まれてきたという自信があった。自分の敏感さが欠点だとは夢にも思っていなかった。「敏感さを持っていてよかったと思うことは?」たくさんの答えが返ってきた。たとえば音楽の才能。これは、長年精神分析を受けている間に、自分を掘りさげるのに役立ったという。
「私は、有意義な人生を送ってきたと思う。」インタビューのはじめにチャールズはこう答えてくれた。
彼の例をみると、いかに自尊心が大切であり、また、まわりの環境の影響が大きいかわかると思う。

上記の博士の言葉からも、自己肯定感は私たちの敏感な体質よりも、幼少期の育つ環境にかなり依存していることがわかるでしょう。

HSPは特別な資質をもっている

チャールズは、愛情深い両親の元で自分の資質を尊重された環境で教育を受けられました。私たちの置かれていた環境は、チャールズとは似ても似つかない環境だったかも知れません。

ですが、一般的にHSPにはチャールズのような特徴が備わっています。アーロン博士も私たちの敏感さを誇りに思うようすすめています。

下記に記されている特徴の内であなたは幾つ思い当たりますか?
また、今後どのように自分の特徴を誇りに思えるよう活用していきたいと思うでしょうか。

 〖HSPの特徴〗
・間違いを指摘したり、間違いを避けることに長けている。
・共感力が高い
・とても良心的である
・深く集中することができる
・慎重さ、正確さ、速さ、小さな違いを見つけることなどが必要とされることが得意だ。
・自分個人の考えについて思いをめぐらせることが多い。
・学んだと気づかずに学んでしまっていることがある。
・まわりの気分や感情に大きく左右される。

チャールズのように、こども時代にしっかりしたアタッチメント(親との関係で得る安定した愛着)を形成できるのは、人口の50~60%だそうです。

アーロン博士は、HSPは生育環境によってアタッチメントや敏感度が変化するとも述べています。こども時代のどんな環境が、自尊心を育み将来の自己肯定感につながるのでしょうか。

こどもを育てる養育者の大切なポイントを3つ取り上げてみます。これは、子育てをする人たちと自分を育て直したい私たちが参考にできることです。


(1)幼少期から養育者に温かく見守られ励まされながら、物事に挑戦して取り組む経験をすること。
(2)自ら挑戦してできたことを、養育者や周囲の大人から誉められたり認められること。
(3)こどもにとって悲しかったこと、怖かった経験やネガティブな気持ちを養育者のもとにいつでも駆け込めて、ありのままの気持ちを打ち明けそれを受け止めてもらえること。

※上記で養育者とは親を指しますが、親がいない場合は施設や周囲の大人の保護者を指します。

上記のような恵まれた安全な環境なら、健全な自尊心を培いながら成長できることでしょう。ところが、ある書籍によると、社会の8割近くの人は健全なアタッチメントを形成でないともありました。それは、自尊心の欠如とも繋がることです。

そんな私たちは大人になってから、どんな方法でアタッチメントを安定させ自己肯定感を持つことができるのでしょうか。

自分がじぶんの養育者になる

自己肯定感がとても低かったわたし自身は、心理学の助けによって自分でじぶんを育て直しを始めました。

そして、中年もかなり過ぎてから、ようやく自分を認められました。そんな私の自己肯定感を持つことに役立った、心理学的な方法を5つご紹介したいと思います。

①自分の長所と短所を理解し受け入れる。
②どんなことがあっても自分と他者を比較しない。
③些細なことでも毎日自分を誉める。
④小さな目標から小さな達成感を毎日味わう。
⑤失敗をリフレーミングする。

では、上記の5つを分かりやすく説明したいと思います。

①じぶんの長所と短所を理解し受け入れる

時折、カウンセリングで「自分には一つも長所がない。」と言われる方にお会いします。だけど、長所が無いのではなく本人に見えていないだけ。少しお話をすると、すぐに長所が見つかり私はそれをお伝えします。

心理学では、自己変容にはまず自己受容が大切だと言われていますが、この自己受容が案外難しいものです。短所は幾つも挙げられるのに長所を尋ねると困ってしまう人は、自分のことが好きになれないようです。

私たちが人を好きになる時は、やはり相手の良いところに目が向いてます。ですので、先に自分の良いところを見つけそこを好きになりましょう。

自分に対して自己否定を持ったままでは、生きることはとても苦しいと感じます。

長所を見つけられない方は、友人や周囲の人やカウンセラーからもらうポジティブな言葉を素直に受け入れ心に留めることをおすすめします。

そうすると、じぶんの短所について優しい見方ができるようになると思います。

有名な話ですが、多くの浮世絵などの作品を遺した葛飾北斎は、生涯93回引っ越しをしたことをある書物で読みました。

その理由をご存知ですか?

部屋のごみで生活できなくなると新居に移るそうです。
お察しの通り、北斎の短所は掃除もごみ捨ても苦手ということでした。

しかし、北斎は百庵という人物に倣い、自分も百回引っ越してから死にたいと言ったという説もあるので。北斎は、決してそれを短所と思って苦にしていなかったのでしょう。

ご存知かと思いますが、アップルの創始者(故)スティーブ・ジョブズは、ADHDとASDと言われていました。

だからこそ、天才的な発想と多大な熱意を費やしITの素晴らしい開発をされたのでしょう。

しかし、彼はコミュニケーションが苦手で周囲との協調性は取れなかったようです。

どんなに才能にあふれた人でも、短所がない人は地球上には存在しないことを私たちは知っています。

このジョブズの短所は、彼の人生にかなり大きな影響を与えたようです。

それは、生前の闘病時に語られた彼の言葉から推察できます。
生前2兆2千億円の資産を有していたジョブズが、膵臓癌の闘病生活中に心に残るこんなメッセージを残しています。

私は、仕事以外には幸せに恵まれない人生だった。

人生の終わりには、富など、私が積み上げてきた人生の単なる事実でしかない。

私が勝ち得たものは、あの世には持っていけない。
私が持っていけるのは、愛情にあふれた思い出だけだ。

これこそが本物の豊かさであり、あなたとずっといてくれるもの。あなたの道を照らしてくれるものだ。

あなたの家族のために愛情を大切にしてください。
あなたのパートーナーのために。あなたの友人のために。

私たちは、自分自身とじぶんを幸福にするものを理解するなら、他の余計なことに労力を費やさないで済むかもしれません。

その余計なもは様々ありますが、一つは自分が変えられないことを嘆くことだとわたしは思います。

何より大切なのは、自分を大切にし自分を好きになること。

その為の一歩として、じぶんの長所と短所を理解しそれを認めること。これが、私たちの自己肯定感の礎になるからです。

②どんなことがあっても自分と他者を比較しない

誰でも経験する落ち込みはどこから生まれているでしょうか。

ご存知の通り周囲との比較です。劣等感も周囲の友人や所属の仲間や近隣の人や会社の同僚等と自分を比較して生じることでしょう。

この認知は、多くの人が意外と無意識に習慣化していることが多いと感じます。

私自身も、人と会話していて胸がチクっと痛んだり、その場で居心地が悪いと感じる時は、じぶんと他者を比較して勝手に劣等感を感じることから生じました。

比較によって、落ち込みや優越感を抱くことはあっても健全な思考は何も生まれません。

健全な人は、他者との比較ではなく、今の自分と過去のじぶんを比較します。そうすれば、以前よりも成長した今の自分を喜べるからです。

私たちは、一人ひとりが違った個性をもった人間ですから。他者との比較によって、大切な自分の心を落ち込ませることをしないよういつも思いに留めたいと思います。

③些細なことでも毎日じぶんを誉める

わたしは、親に褒められた記憶が一度もありません。
ですので、心理学に触れるまでは、自分を誉めることがどんなに大切なことかを全く知りませんでした。

あなたはいかがでしょうか?

自分の育て直しでこれを始めてから、みるみる自分自身が変化し心が満たされてゆくのが分かりました。

この療法を「ひとりゲシュタルト」「ひとりサイコドラマ」と勝手に呼んでいます。

じぶんの行為を誉めて承認することを含めて、幼少期に得られなかったポジティブな体験することで、私たちの愛着は徐々に安定していきます。

例えば、アパレル企業で勤めていた時分は、一日9時間以上百貨店で販売をしいつも足がむくんでいたので、家の玄関で靴を脱ぎながら「ひろみ、今日はよく働いたね!よーくがんばった!本当に偉かった、今日のビールはうまいよ~!」なんて風に。

誉めることは場所を問わず、よくつる弱い足をお風呂で右足と左足を交互に「今日はよく頑張って歩いてくれたね、ありがとう~。本当にありがとう!」と労いながら洗っています。その効果もあるのか足がつらなくなりました。

今は、慣れないブログを一から学んでアーロン博士の本を読み返し先回の記事に9時間以上もかけて「えらいね!本当によく頑張ったぁ~。」と誉めてみました。

 私たちの脳は、労いも称賛の言葉もちゃんとキャッチして身体と心が反応してくれます。

称賛すればするほどに変化や安定を感じられることでしょう。

じぶんを誉める時の大切なポイントは。
じぶんの親友や大切な人に対して称賛するように声に出して誉めましょう。

④小さな達成感を毎日味わう

大きな目標に到達する為に、スモールステップを作ることは皆さまもご存知でしょう。

しかし、大きな目標を持っていなくても、日頃できる小さなことにチャレンジをしてその達成感を味わえます。

この小さな達成感が少しずつ自信に繋がり私たちの自己肯定感を育んでいきます。

チャレンジの内容は、その方のライフスタイルに合わせて見つけられると思います。

例えば、朝が苦手な人は15分早く目覚ましをかけて起きるとか。健康の為にラジオ体操をするとか、自分がちょと頑張ればできることを設定してください。

私は一日一回、誰かに親切をするという目標を立てたことがありました。
街中では、みなさん急ぎ足で通り過ぎてゆき、困っている人に出逢う機会がそうそうありません…。

そこで、会社で誰かと会話した際に相手の良い所を会話に織り交ぜて一つ誉められたら達成!というルールをつけ加えました。

それを達成した日は気分が良い一日でした。それは、自分と他者の双方にとってメリットになるチャレンジだったと思います。

⑤失敗をリフレーミングする

お恥ずかしいことですが、私は大なり小なり毎日失敗をします。

自尊心を持たなかった頃のわたしは、失敗をすると「馬鹿!」「また、やっちゃった!」と反射的に自分を責めていました。これは上に挙げたこどもの自尊心を育む成育環境と真逆のことです。

これでは自己肯定感が上がるはずがありません。

そこで、認知療法的に、その失敗に対する見方をリフレーミング(物事を見る枠組みを変える。)して失敗のポジティブな面を見つけることにしました。

例えば、出勤の際にお財布を5分ほど探しても見つからないので。もう一度今日持っていくバックを確認してみるとお財布が入っていました。

以前なら、探しても見あたらないストレスで過敏になって自分を責めていましたが、現在は「もう一度バックを確認して偉かったね。」「入ってて良かったね。」と声がけして喜びます。

どんな出来事の失敗も、冷静に観点を変えて見直すと学べることがあります。それがリフレーミングです

たとえ、声に出さず頭の中で呟くにしても自分に対して優しいポジティブな言葉をかけましょう。

ネガティブな言葉を、ポジティブな言葉にリフレーミングする。これを私たちの脳はちゃん察知し記憶に積み重ねています

人生の中では、時に痛い失敗や大きな損失を経験することもあるでしょう。私たちが経験する深く記憶に残るつらい失敗ほど、二度と同じ過ちは繰り返さないと明記させられます。

わたしは、これを賢くなる為の人生の授業料と捉えるようにしています。

自分を育て直すことの価値

ここまでで、大人になってから自己肯定感を育む5つの方法をお伝えしました。

簡単に振り返ると。①じぶんの長所も短所も受け入れること。②人と比較しないこと。③じぶんを誉めること。④小さな成功体験をすること。⑤失敗をリフレーミングしポジティブに捉え直すこと。

それから、幼少期の自尊心を育む生育環境の大切な3つの点も取り上げました。

そのことは、大人になった私たちができるだけ理想の環境にじぶんの身を置くための指針にできます。

例えば、常に妻を罵る夫と生活しているなら自尊心がボロボロされるでしょう。自分がどんな環境で、誰と時間を過ごし生活したいのか。大人になった私たちは選ぶことができます。

こうして、自分がじぶんを大切に育て直すことで、私たちの自尊心は育まれ自己肯定は高まっていくことでしょう。

しかし、私たちの”自分の育て直し”は、決して簡単なことではありません。すごくエネルギーも決意も忍耐力もいることだからです。

私は、今日ご紹介した5つの方法を始めてから、15年以上が経ちますがいまも継続しています。そのお陰で、ある程度の健全な自尊心を持って明るく人生を楽しめていると感じています。

最も大きく異なる点は、アタッチメント(愛着)が安定すると、過去から解放され人生でやりたいことが明確になり、生きている充実感を感じられることかもしれません。

育て直しは、個々の体験でかかる年数が違いますが。あなたの自尊心を取り戻し健全な自己肯定感をもって、あなたが人生を充実し自分らしく生きることを心から願っています。

上記のチャールズの実例でも触れましたが、親との関係で培われるアタッチメント(愛着)も自己肯定感にかなり大きな影響を与えるものです。

私のような機能不全家庭で育った悪影響は、大人になって自ら取り組まなければならない課題があります。

ご興味のある方は、エレン・アーロン博士の著書や岡田尊司さんの著書「愛着障害の克服」をご覧ください。

では、成育環境で培えなかった私たちの不安定な愛着は、大人になってから上記の方法だけで改善できるのだだろうか。そう感じる人もおられるでしょう。

また、成育環境で親から受けた深い傷はどう癒せるのでしょうか。

そのことは、健全な自尊心を持つためにも乗り越えなければなりませんので、次回はその点について、引き続きアーロン博士のアドバイスと岡田尊司さんの著書も交えてお話したいと思います。

今日は、長文をお読みくださりありがとうございました。

日頃カウンセラーをしている私の生きるモチベーションの一つに、困窮家庭や難民の方や国境なき医師団などを支え合いを6年続けています。例え100円でもその真心でこども達の未来に笑顔を!頂いたサポート金は、大切にお預かりして寄付として送ります。バタフライ効果どうぞよろしくお願いします。