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縦断的研究・横断的研究(longitudinal / cross sectional study)

○縦断的研究

 同一の個人や集団を対象に検査や調査を継続して行い、発達の経過を検討していく方法。
 個人の一貫性や発達的変化が明確にわかるが、研究期間・費用・労力がかかり、同一の被験者を長期間追跡することが困難。
 多数の被験者のデータを集めることが難しく、それに伴ってデータの一般化など統計的処理も困難。

○横断的研究

 異なる年齢集団を一度に調査し、各年齢集団間の 発達の経過を検討していく方法。
 研究期間が短く、費用や労力も少なく済み、 実施が容易で多くの研究対象者のデータが集められるが、特定の個人の発達的変化を知りえるものではなく、発達の大まかな傾向しかわからない。
 生まれ育った時代が異なる影響(コーホートの影響)もある。

○コーホート研究(cohort analysis)

 同一年齢集団の差異を用いて、 時代背景の影響を検討する研究。


<目的による分類>

○法則定立的研究(nomothetic study)

 多数の人々の行動に共通する一般的な原理・原則の発見を目的とする研究。

○個性記述的研究(idiographic study)

 一般法則では測れない個人の詳細な記述を目的とする研究。
臨床心理学では、一般化困難な症例の対応と理解のため、事例研究を中心とした個性記述的研究もなされる。


<収集法による分類>

・実験法 (experimental method)

利点:独立変数を操作し、従属変数の変化を分析することで因果関係の特定が可能。
欠点:実験場面と現実場面との乖離が生じる。

・質問紙法 (questionnaire method)

利点:大人数のデータ収集が可能。
欠点: 虚偽・防衛的態度など回答の歪み、 識字能力が必要 。

・観察法(observational method)

利点:言語が不要、現実場面の把握が可能。調べたい変数が明確でない時などに用いる。
欠点:観察者の存在による行為者への影響。観察者の主観による解釈が入る。観察対象の行動が必ずしも生起するとは限らない。

・面接法(interview method)

利点:微細なデータの収集が可能。
欠点:数量化、一般化が困難。面接者の主観による解釈が入る。


○質的研究(qualitative study)

 データを数量化せず、記述データとして処理する研究法。
統計的分析が困難。未知の領域統計的に関する理論や仮説の生成に用いられる。

○量的研究(quantitative study)

 データを数量化して処理する研究法。 統計的分析が可能。

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