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ヒューリスティック(heuristic)

○ヒューリスティック

 簡便な判断方略に基づいて直感的な判断を下すこと。
 人は認知資源を節約するために、複雑な課題をより扱いやすい単純なものへと変換する傾向がある。
 必ず問題が解決するという保証はないが、経験的に解決への確率が高い方法を用いて意思決定をする。
 ヒューリスティックを用いれば、少ない努力でうまく解決に至ることもあるが、 トヴァスキーとカーネマン(Tversky & Kahneman)は、しばしば種々の誤りをもたらすことを指摘している。

① 代表性ヒューリスティック(representativeness heuristic)

 イメージと合致する出来事の確率を過大する傾向。
 対象がどの程度そのカテゴリーの典型例であるか、あるいはどの程度カテゴリーの特徴と類似しているかによって判断される。

② 利用可能性ヒューリスティック(availability heuristic)

 ある出来事が生起する確率の評価は、その出来事を思い出しやすいほど高く見積もられる。
 ニュースで大きく取り上げられた事件は、記憶に残りやすく利用可能性が高まるため、高い確率で起こると判断されやすい。

③ シミュレーション・ヒューリスティック

 ある事象に関するシナリオのシミュレーションがどの程度簡単に行なえるかに応じて判断や印象が決定される。
 宝くじの当選番号と1つ違いで外れたときの方が、まったく違う番号で外れたときよりも悔やしがるのは、当たった場合のことを容易に想像できるからである。

④ 調整と係留のヒューリスティック(adjustment and anchoring heuristic)

 ある次元上の値を推定する場合、最初に何らかの初期値(係留点)を設定し、 その点を調節して最終的な判断を行なう。
 「頭の中に数量情報を表す数直線が存在する」、「数量推定には許容範囲が存在する」、「数量推定は任意の出発点(アンカー)から連続的に移動する」という仮定がある。

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