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心の理論(theory of mind)

○ピアジェは、前操作期(2~6歳)の子どもは他者の立場に立って考えることが できないと述べ、三つ山課題(three mountain problem)を行った。
 前操作期の子どもを色・形・大きさが異なる三つの山の前に座らせ、様々な視点からどのように見えるか答えさせたところ、自分の座っている位置からの光景しか答えることができなかった。
空間内で視点を移動すると、ものの見え方が変わることを十分理解していないだけでなく、他人が自分とは異なった見え方・考え方・感じ方をしているということが理解されていない。

○心の理論

 プレマック (Premack, D.)が提唱した。
他者には自分と異なる心的状態が独立して存在していることを理解する能力のこと。
4歳頃に獲得されるといわれ、後にピアジェに対する反証がなされる。

○誤信念課題(false belief tasks),サリーとアンの課題(Sally-Anne task)

 自分は知っているが他者は知らないという状況が提示された時に、そのことを正しく理解できているか問う問題。

「サリーがビー玉を自分のカゴに入れてから、その場を立ち去るのを見せる。サリーが留守のあいだに、アンはサリーのビー玉を自分の箱に隠す。サリーが戻ってきたときに、サリーはビー玉をどこで探すか。」
(バロンーコーエン,Barron-Cohen, S. )

 3歳以前の子どもは自分が目撃したままに「サリーは箱を探す」と答え、 他者の考えを推量しない。
 4歳以降の子どもはサリーの考えを推量して「サリーはカゴを探す」と答える。
 これはピアジェが6歳以降の具体的操作期にならなければ、他者の視点をもてないと述べたことへの反証となった。
 自閉症児は、他者との相互的なやりとりなど対人関係に重い障害をもつため、 誤信念課題に著しい困難を示す。他者の考えや信念を推量する働きに障害のあることが示唆される。

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