集団間葛藤(intergroup conflict)
○集団間葛藤
2つ以上の集団が存在し、他集団が自集団の目標遂行の妨げとなる場合に生じる葛藤。
シェリフ (Sherif et al., 1961)は、サマーキャンプ実験の中で集団間の葛藤の生成過程と解消法を示した。
1954年の夏に11歳の少年ら24人が2つの集団に分かれ別々の場所でキャンプ生活を送った。
班に分かれて共同生活するうちに、各班の中には「集団」としての構造が生まれ、他集団と異なる独自の規範と役割分化が形成された(集団形成期)。
次に班対抗の宝探し、綱引き、野球など競争的な色合いの強い遊びが実施されると、2つの集団間には容易に敵対意識が生まれた(集団間対立期)。
葛藤解消のために、敵対する集団同士を近づけて交流の機会を増やすことが試みられたが、かえって対立が深まり逆効果となることが明らかになる。
「接触仮説」が有効に機能するには、いくつかの条件が揃う必要があることが示された。
そこで水道施設の修理、映画の資金集めなど両集団にとっての「共通の敵」であり、協力してはじめて達成できるような上位目標(superordinate goal)が実験者によって意図的に作り出されると、両集団は協力的に活動するようになった (葛藤解消期)。
外集団の設定や競争は、自集団の凝集性を高め、外集団への攻撃性が増す。
一方で、両集団に共通する上位目標を設定し協同で活動することによって敵対関係が解消し、集団間の協調が生み出される。
○接触仮説(contact hypothesis)
偏見はその対象集団と接触する機会が少ないために形成されるのであり、接触する機会を増やして正しい情報を得れば偏見を解消できるとする仮説。
しかし、接触によってより偏見が強化されることがあり、接触仮説が成立するには、いくつかの条件が必要である。
①対等な地位の者同士が接触する(地位の対等性)
②両集団がともに活動することで双方の利益になること(協力的関係)
③ 接触した相手がステレオタイプに反する特徴を持っている(反ステレオタイプ的特徴)
④ 反ステレオタイプ的特徴を持った相手と接触したときに、その相手が例外的であると認知されない(典型性)。
もし持っていたとしても、その相手が例外的であると認識されることをサブタイプ化(subtyping)と呼び、集団全体のステレオタイプが解消されることはない。
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