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文化心理学(cultural psychology)

○ 文化相対主義(cultural relativism)

 文化の多様性を認め、その独自性や自律性を重んじ、文化がもつ価値を判断する絶対的基準の存在を否定する立場。

○原理主義(fundamentalism)

 宗教的な原典を絶対視する主張や態度。
 グローバルな文化とは異なる伝統的な文化の維持に重きを置くため、多文化主義と衝突している。

○ 文化依存症候群(culture-bound syndrome)

 ある特定の文化集団に限定されて出現することが多い精神疾患や異常な行動パターン。
 対人恐怖は日本でよく見られるが、西洋にはほとんど存在しない。
 ただし、その文化において多発しているというだけであり、他の文化圏で絶対に生じないということではない。

○ カーペンタード・ワールド仮説(carpentered world hypothesis)

 幾何学的錯視の成立に際して、文化的・社会的要因が影響しているという 仮説。
 直線的、直角的な人工物との接触経験が線遠近法の奥行き知覚や・ミュラー・リヤー錯視現象に影響し、錯視量の増大にもつながる。


 ニスベット (Nisbett,R.E.)は、認知と思考の様式における文化差に関する理論モデルを提起した。

○分析的思考(analytic way of thinking)

 対象そのものの特徴に注意を向ける考え方。
 対人関係が相互独立的な西洋社会に住む人々は、周囲に存在する刺激のなかでも、最も注意を引く対象に注目する。
 対象以外の刺激(背景)は、しばしば無視する。

○包括的思考(holistic way of thinking)

 対象をとりまく場全体に注意を払い、対象と場の要素との関係を重視する考え方。
 対人関係が相互協調的な東洋社会の人々は、対象と状況の両方に広く注意を向ける。


 マーカス (Markus.H.R.)北山忍は、文化と心の関係を「ある文化において歴史的に共有されている自己についての素朴理論」である文化的自己観(cultural construal of self)によって説明した。

○相互独立的自己観(independent view of the self)

 自己が他者や周囲の物事から区別され、自己のもつ能力・才能・性格特性などによって定義される欧米で優勢な自己観。

○相互協調的自己観(interdependent view of the self)

 自己を他者や周囲と結びつく関係志向的な実体であると定義する東洋で優勢な自己観。
 自己はある特定の状況や他者の性質に依存する。

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