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Macintosh。

1990年ぐらいか、仕事先のデザイン事務所で見たのが、あのMacintoshのパソコンだった。当時ベンツ一台買えるくらいしたそうな。色々話を聞くうち興味がわき面白そうなので、その後、手の届く値段になった一体型のMacintosh LC575(だったと思う)を買ってみた。何が出来るのかさっぱりだったけど、のちに仕事で使うことになるとは夢にも思ってなかった。遊びで簡単なゲームや、パソコン通信なんかもやり出して、ちょっと、世界が広がりそうな予感がして来てた。
でも、まだデジタルカメラは一般的ではなく、フジかどこかのおもちゃみたいなのを買って、ロケハンで記録用に持って行くぐらいが関の山。当時、業界紙だったかなにかで、フィルムに匹敵するような画素数に追いつくまで、今のスピードで画素数が増えても、10年以上かかる。デジタルカメラが我々の仕事で使えるようになるのは遠い将来の話で、銀塩の時代は当分続く、とかなんとかなんて記述があり、まだまだ大丈夫と言う空気があった。
 でも、私は思うより早くデジタルの世が来るという気がしていた。と言うのも、1976年、18くらいの頃、ようやくアマチュアバンドでもシンセサイザーが使われ出してたが、まだ値段も高く出る音はたったの1音か2音。それが78年にYMOが登場してシーケンサーやエレドラを使う頃には、高性能で5音や6音同時発音のシンセがステージに登場したかと思うと、あっというまに10音以上出るようになってた。そしてフェアライトCMIを友達がCM音楽などの制作に使いだしてたのを見てたから、デジタルの波は意外に早く、必ず来る、しかも勢いは加速するだろうと。
 21世紀になっても、私の周りではメインはまだフィルムだった。パソコンはマックのタワー型のそこそこのを買い、フォトショップ、イラレも入れてたが、35用のフィルムスキャナでデータ化したものを加工して遊んでたくらいだ。そういえば、商社の仕事で、撮影のあと、イラレが使えるならば、と、簡単なものだけどプレゼン用のカンプの製作をやらされたこともあった。
 2002年頃になると、手に入れやすい価格になったEOSD30、D60とかが出て、1Dを買ったあたりから本格的に仕事に使いだした。その頃よく受けてた大学、専門学校などの学校案内の撮影で活躍してくれたが、スタジオでのブツは、製版、印刷がまだ対応できないという事でフィルムでやってた。それも2005年くらいにはもう箪笥の肥やし状態になってたと思う。
 なんとなく予想していたとはいえ、そのスピードたるや想像以上。2000年前後、私が40くらいの頃、60代だった先生や先輩たちは、まだまだ銀塩で大丈夫とタカをくくるか、頑張ってデジタルに対応していくかで、道が別れたように思う。デジタルカメラそのものは、銀塩のものとほぼ同じなので何とかなっても、パソコンが触れない、ダメってのもよく聞いた。なかにはPCをもたず、撮影後にカメラのJpegデータを丸ごと渡して納品って人もいたらしい。対応を諦めた人たちは少し早めの引退をしていくことになったようだ。
 どこへ行ってもMacintoshばかりだった状況から、2005年くらいからかな、もうマックでなければ、ということも無くなり、逆にXPの方が、ソフトのアプデなど対応が早い、なんてことも出てきたので、うちもノートを残してあとはウインドウズのマシンに鞍替えした。
 そして、すべての撮影をデジタルカメラでするようになるまでは、ほんとうにあっという間だった。この先はどうなるかわからないけど、スマホで仕事も済んでしまう時代が来るのかな。キヤノンやソニー、ニコンなどの大手メーカーには、あの旧態依然とした一眼レフの形状、システムから脱却して、見たことも無いような、全く新しいスタイルを提示してくれないかな、と思っている。

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