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臆病者が自由を手に入れた話でも聞いてみないかい【三話】

瞼を開くと、まだ窓から光は入ってきていない。
時計を見ると午前3時。
まだベッドに入って一時間程度だ。

ぼんやりとした頭で思考を巡らせる。
憧れていた沖縄生活も、半年が過ぎていた。

この生活を始める前に、なんとなく考えていたことはあらかた済ませた。
行きつけの食堂、居酒屋、そば屋も出来た。

毎日ブラブラと大好きな街を歩き、気になった店に入り酒を飲む。
時間を気にすることなく、ビーチで横になる。

そんな毎日を夢見て頑張ってきた。
はず、なのだが。

何か胸の奥に満たされない、靄がかかったような寂しさのような存在を感じる。

答えはわかっている。
わかっているのだが、受け入れることが出来ない。

何故。
望んだ生活、夢を手にしてこれ程空い気持ちになってしまうのか。

臆病。

コミュニティに属することにより、人との繋がり、承認欲求、社会貢献等、ある種幸福度を計るバロメーターのようなものを得ていると考える。

一人でいることに対しては特に不満も抵抗も無い。

だがこうしたコミュニティに属することへの願望もある。

このギャップが現在の私の心に影を落としている。

では、何故コミュニティに飛び込まないのか。
それは、ただただ怖いのだ。恐ろしいのだ。

これは私のこれまでの人生において、出会った一部の人間から受けてきたことによる影響だ。


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