良いフィードバックとはなにか、あるいはヘルシーバーガー施策について
はじめまして、しげです。
主夫とパパとライフコーチと、コチ研の運営をしたり、代理店で企業のブランディングや売上拡大に向けた広告戦略の立案・実行を担当しています。
コチ研主催 『限りなく本番環境に近いコーチング練習会』
を実施しました。
以下、概要です。
・期間は、原則3ヶ月(全6回)
・セッションは有料(原則60分 1万円で統一)
・ペアは実際に契約書を交わす
・コーチとクライアントは相互の関係ではなく、参加者全員が誰かのコーチであり、誰かのクライアントになるようリレー形式で設定
・全6回終了後に振り返りを実施
より詳しい情報は、こちらにまとめています。
この企画に至る思想や経緯に関しては、以下のnoreをご参照ください。
ちなみに、このnoteは、僕の大好きな以下のnoteを大いに参考にさせてもらっていて、形式はもはや完全なるパクr…引用、パロディ、オマージュです(怒られたら消します笑)
本当に名作で勉強になるので、よければ読んでみてください。
参加してくれたコーチの感想
3月にキックオフMTGを実施して、4月から本格的にセッション開始。
たった3ヶ月、されど3ヶ月。参加してくれたコーチの皆さんからは、とてもポジティブなご意見をいただくことができました。
感想を、一部ご紹介します。
仲間との出会いに感謝しかない
リアルな場での研鑽ができた
流派が異なるコーチたちのセッションに触れることで、自分のコーチングと向き合い直す機会になった
仕事の悩みが主だったが、かなり状況が好転して、気持ちが楽になった
参加前よりもスキルアップでき、職場でも活かすことができるようになったと思う
次回以降は、有料で実施してもいいのではないか
みなさんにとって、意義のある時間と感じていただけたようでなによりです。
最大の課題は 『フィードバック』
いただいたポジティブな感想とは裏腹に、僕はやや課題の多い取り組みだったと感じています。
最大の課題は『フィードバック』
まず、想定よりも数が少なかった。
お互いに積極的にフィードバックし合うことで、研鑽し、高め合うことを狙って導入した仕組みも、最後まで議論が盛り上がる場面は見られず、、、
リアルなセッションの場数を増やすことには一定の効果があったと思いますが、その機会を十二分に活かし切り、成長につなげることができたかは疑問が残ります。
次に、フィードバックの質。
以下、少し自分なりに深彫りしてみたいと思います。
フィードバックとは
コーチングでは、「フィードバック」にも複数の意味がありますね。
セッション中に、コーチからクライアントへ、感じたことをそのままつたえる「フィードバック」もあれば、セッション後の感想やアドバイス、リクエストなどを、総じて「フィードバック」と言ったりします。
このnoteで、「フィードバック」というと、基本後者の意味と捉えてください。
主語は、
クライアント → コーチ
オブザーバー → コーチ
のどちらかになると思います。
今回の練習会では、セッション動画を限定公開し、それを見てくれた他のコーチ(=オブザーバー)からフィードバックをもらう形を取りました。
動画なら自分のタイミングで、早送りしたり、場合によって一部飛ばしたりしながら、柔軟にセッションを見ることができ、結果フィードバックの数が増えるのではないか?という仮説の元実施したのですが、結果そこまで数は多くならなかったし、コメント欄上で議論が起こる、なんてことにもうまく発展しませんでした。
ここにおいては「テキスト」という特性も良くなかったかもしれないと反省しています。
微妙なニュアンスを伝えきれなかったり、全部伝えようとすると長文になりすぎたり、、リアルタイム性やリズムも失われます。
極端な例かもしれませんが、1ヶ月も前のセッションにあーだこーだ言うのは、言う方も言われる方も熱が持てなくて、あまり発展していかないような感じがしました。
好きなときに書けて、好きなときに読めるという長所も、自己管理をして読んだり書いたりしないといけないという点では短所になるのだ、という気づきもありました。
動画を見る、に関しても、見なくても怒られないし、自分には関係ないっちゃないので、うまく働かなかったのかな〜とかとか。
良いフィードバックとは?
続いて、フィードバックの質について。
これについては表現がめちゃくちゃ難しくて、言葉を選びきれないところもあるのですが、、
なんとなく思考進んだし、答え出たし、クライアントさんも満足してるから、いいセッションだったと思います。
フィードバックって、これでいいんでしょうか?
特に、こんな会話が「クライアント → コーチ」に対して行われているとしたら、僕はあまりフィードバックとして機能してないように感じています。
では、良いフィードバックとはなにか。
僕は、以下の要素を満たす必要があると考えます。
国際コーチング連盟の規準に則っていること(正当性)
次に似たような場面に出会ったときに、思い出して使える、使えそうであること(汎用性)
『正当性』 は言わずもがな
ですが、意外と意識されてない気もします。セッション中に、規準に則っていない関わりがあったように感じたのなら、そこは事実として指摘すべきではないかと思います。
特に、オブザーバー視点では、当事者間では気がつけないことも多いと思うので、割と細かくコメントして良いところではないでしょうか?
『汎用性』 のないフィードバックは、二度と使えない
セッションにおいて、全く同じ場面に出会うことは、ほぼありえませんよね。
にも関わらず、フィードバックの内容が、そのセッションの、一場面に対してのみ通用するフィードバックになっているケースが多々あると思います。
『汎用性』 のないフィードバックは、二度と使えません。
一つの場面に対して、対応をすべて覚えようとするのは、詰将棋を解きまくって、それらの手筋を暗記しようとするようなものです。
全く同じ場面なんて、一生来ません。
汎用性を高めるには、起こったことを抽象化する必要があります。
「あの場面では、質問じゃないほうが良かった」
よりも
「あの場面では、クライアント側の思考が止まったように見えた。かつ、それまでも質問が立て続いてた場面だった(抽象化)ので、
質問ではなく、クライアントの頭に浮かんでいることを、一度そのまま語ってもらうほうにシフト(汎用性)したほうが良かったのではないか」
のほうが、似たような場面が起こりそうじゃないですか?
また、それに対する関わり方の手札としてストックできる汎用的なフィードバックになっていると思います。
全体を見たときに、こんな形になっていて、この駒はこういう役割を担うことが多いな、とか、詰将棋を解く中で身につけた考え方は、本番で常に生かされ続けるのではないでしょうか?
ヘルシーバーガー施策
少し話がそれますが、僕は、クライアントさんからの
あの質問が答えづらかった
あの沈黙が苦しかった
というフィードバックが苦手でした。
「答えづらかったから、なに?」
「そりゃ難しいこと考えるんだから、苦しいでしょ」
と、内心ずっと思ってたのですが、はじめの頃は「あんまり答えられないことは聞かないほうがいいのかな…」と、反省したものです。
ここで考えたいのは、クライアントからの「こうしてほしかった」にまっすぐ答えることに、本当に意味があるのか?ということ。
マーケティングの世界では、割とよく知られているこんな小話があります。
マクドナルドでは、次のキャンペーンのために新作を作ることにしました。
お客さんが求めているものを作れば売れるだろうと考え、それなりのお金をかけて調査をした結果
『マクドナルドは好きだけど、体に悪い印象もあるので、体にいいヘルシーなバーガーを作って欲しい』
というニーズがあることがわかりました。
世間的な健康ブームもあったので、マクドナルドは意気揚々とヘルシーバーガーを開発、味も申し分ない仕上がりでした。
結果どうだったか。
ヘルシーバーガーは、全然売れず。相変わらずビッグマックたちが選ばれ、ヘルシーバーガーは販売停止となりました。
この話のオチは、
マクドナルドは、健康ブームの渦中であっても「たまには身体に悪くても、美味しいものを思いっきり食べたい!」というインサイトを満たしていて、ヘルシーなんか本当は期待してなかった。
消費者の真のインサイトは、アンケートでははかれない。消費者は嘘を付くのだ、気をつけろ。
というものなんですが、僕はコーチングのフィードバックに関しても、これと近いことが起こっているんじゃないかと感じています。
クライアントさんに言われた通りのサービス、関わりを提供したとして、それが本当にクライアントのためになるのでしょうか?
それって、ヘルシーバーガー施策になってたりしませんか?
「質問してほしい!」ってニーズに答えて質問しまくったとして、それで本当に思考進みますかね?コーチと依存関係が生まれたりしませんか?
それが本当にクライアントにとって、最高の関わりなのか?
もしよければ、一度皆さんにも考えてみてほしいです。
〜 しげ的ポイント 〜
コーチよ、そこに愛はあるんか?
良質なフィードバックを得るためには
閑話休題、コチ研主催の練習会の話に戻すと、
・リアルな場は提供できたけど、リアルなだけではだめだということがわかった
・セッションの向上に向けては、良質なフィードバックが生まれる仕組みづくりが課題
が、ざっくりしたまとめです。
ここからは個人的な仮説ですが、良質なフィードバックを生み出すために『感想戦(フィードバック会)のフォーマット』を決めてはどうかと考えてます。
これは、僕が実際に使っていて、一定の効果を感じているやり方なのですが、
セッションが終わってからのフィードバックの時間は、コーチとクライアント役が入れ替わって、あるいはオブザーバーがコーチ役をコーチングするようなイメージで、感想戦をすればいいのではないかと考えてます。
具体的な流れは、以下の通りです。
クライアントからの感想は、さらさら〜っと話して、コーチ目線ではどう見えてましたか?をまず聞く。
このとき、感想の9割は良かったこと。どうしてもネガティブなところが残っていたとしたら、それはそれで伝えるけど、ちょろっとでOKです。
ここで出てくる対策とか、改善案は、ヘルシーバーガー施策の疑いがある気がしてます。
次に、セッションの中で
① うまくいかなかった、気になると感じているところ
② 自分はこういう狙いでこう関わったが、狙いはうまくハマっていたか、どう感じていたのか確認したいところ(答え合わせ)
をコーチ役に聞きます。
①に関しては、なぜそう感じているのかまで、コーチにちゃんと話してもらった上で、それは実際にそうなのかどうか、クライアント側の答え合わせとして、事実を中心に伝えてあげればいいと思います。
もし、こういう場合はこうしてみたらいいんじゃないか、というアイデアがも一緒に浮かんでいれば、それも一緒に伝えてOKです。
②の場合、これは単純な答え合わせなので、クライアントとして感じていたことを素直に伝えればいいと思います。
これも、その後の話の流れで、もしアイデアが浮かんだら伝えてもOKだし、出なければ無理にアドバイスとかはいらないと思います。
ちなみに、前提として「より良くするには、こうしたほうがいいと思う、を必ずあげなきゃいけない」と思うと、コーチングスタンスからコンサルタントスタンスになってしまうので、その意識はなくていいと思っています。
①も②もなければ、
このセッションのハイライト(一番良かった関わり、質問など)は、コーチ的にはどこだと感じてますか?
を聞いてあげるのはどうでしょうか?
案外、コーチが思うハイライトとクライアントが思うハイライトは違ったりするので、話が膨らんだり、発見に繋がったりします。
『コチ研』は、これからも新しいペアコーチング・相互セッションの形を模索し続けます
めちゃくちゃ長文になってしまいましたが、この練習会はまだ生まれたばかり。
試しに一度やってみた、くらいのものなので、より精度高く、真に迫るセッション練習ができるよう、仕組みづくりを試行錯誤していきたいと思います。
コーチング業界の健全な発展のために、より良いセッションを提供できるコーチを、自分たちの力で増やしていきましょう!
『コチ研』 について
全国若手コーチング研究会『コチ研』は、
「わかった」ではなく『わからない』を持ち帰ろう
をコンセプトに、
・しげ @psps0113
・しみしょー @shimi_coach
・あんじゅ @raworkingmama
の3名で立ち上げたコーチング研究会です。
何かを教えてもらう勉強会ではなく、自分たちで考えたり、議論したり、実験(ワーク)を通じて、コーチングへの理解を深め、新しい仮説、新しい問いを生み出すことを狙いとしています。
ちなみに、本文とは関係ありませんが「スキ!」を押してもらえると、ランダムで僕が好きな名言が出るようにしてみました。
このnoteを面白い!と感じてくれた方は、ぜひ「スキ!」をお願いいたします。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
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