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「PY」は、未来の体験をいかに生み出していくのか?


2023年、PARTYから「PY」という新たな組織が発足しました。
PYを一言で表現するなら、「テクノロジー領域に特化したプロダクション」。

今回は、なぜPYをつくる必要があったのか?今後、PYはどのように活動していくのか?について、Tech Leadのコバヤシタケルと梶原洋平、CG Teamの寺島圭祐(@kskee)と瀬賀誠一(@SeiichiSega)へのインタビューを通じて迫っていきます。

「手」を動かさないと、未来の体験は生みだせない

— まず最初に、「PY」を発足させるに至った理由について教えてもらえますか?

梶原洋平 (Tech Lead):

PYをつくった理由は「大きな時代の変化」が動機になっています。海外のテック業界では、GAFAMをはじめとして「エンジニアリングを前提としたビジネス構造」がベースとなっていて、企業間で優秀なエンジニアの奪い合いになっています。CEOがエンジニア出身なことも多い。ですが、国内を見るとエンジニアチームが「ビジネスやクリエイティブ・レイヤーの下流」という構造になってしまっているのが現状です。AIをはじめとした、次々と出てくる高度な技術の柔軟な応用が求められる今、ここを何とかして変えないといけない。

PARTYではエンジニアもクリエイティブも営業も、全員が役職に関係なくフラットにプロジェクトの最初期からコミットすることが多く、このPARTYのワークフローをベースに、クライアントや外部のクリエイティブチームと直接仕事ができるようにしたプロダクションが「PY」になります。

これから、「クリエイションとテクノロジーの関係性」が劇的に変わっていきます。様々なジャンルの生成AIが一気に社会に浸透して、どんな人でも簡単に、いい感じの創作が気軽にできるツールが溢れていき、あらゆるレイヤーで活用されていく流れは不可逆なものです。そんな状況において「上流→下流」という工場的プロセスで作られたものが、皆をハッとさせるようなものたり得るのか?という疑問が強くあり、PYに所属するメンバーは、実際に「手を動かす」ことでしか、まったく新しい体験は生み出せないのでは?という問いを持って活動をしています。「アイデア→デザイン→実装」の様な一定プロセスに沿った「想定内」に収めることを頑張るのではなく、最初から手を動かして考えて、どれくらい「想定外」に出会えるか?が大事なのかなと。手を動かす中で出会った発見だったり、ある種のバグのような偶然を積極的に取り込んでいくことが、この時代のクリエイションには必要なのではないか、と考えています。

なので、細かい仕様よりも「実現したいこと」の大枠だけがあり、一緒に試行錯誤しながら伴走することで、想定を超えた景色が見えてくる可能性がある。PYは、そんなパートナーだと言えるかもしれません。

コバヤシタケル (Tech Lead):

前職でも多くの広告代理店やクライアントさんと仕事をする中で、言葉を選ばずに言うと「前例主義」が根強いな、と感じることが多くありました。SNSや海外事例で見たことのある内容がベースになってプロジェクトが進んでいく、という流れです。おそらく承認プロセスの中で「前例」があった方が通しやすい、予算が付きやすい、などの理由が考えられるのですが、その部分を自分たちの経験とスキルがあれば変えられるのではないか?と信じています。

PARTYでも、アイディアづくりの段階からエンジニアが入ることで、企画のフィジビリティ(実現性)の確認はもちろん、クリエイティブ・ジャンプや、思いもよらない発想が生まれることが多くあります。どんなに良いアイディアでも、実現できなければただの妄想です。最新テクノロジーに常に触れながらものづくりをしている僕らがお手伝いできれば、「今まではこうだったよね」という固定観念やキャップを外して、もっと多くの皆さんに「こうすれば出来るんじゃないですか?」という実現性を提供することが出来ると考えています。

イテレーション(反復)の精度とスピード感が強み

— 他にも、「PY」ならではの特徴や、これが個性だと言える部分はどこでしょうか?

コバヤシタケル:

まず「PY」のメンバー構成をお話しすると、大きく「Technology Team」と「Artists & Management Team」という2つのチームを持っています。

この2つが共存していることがプロダクションとしての大きな特徴になっていて、テクノロジーを使った実装と、テクノロジーを理解するアーティストによるヴィジュアライズを繰り返す「イテレーション(反復)」を、高い精度でスピーディに行うことが可能になります。それは、イテレーションこそが最終的なクオリティに直結すると考えているからです。

寺島圭佑 (Motion Graphics Artist / Art Director):

そうですね。企画の段階で、核となるアイディアと最終的な実装イメージ、そしてメンバー全員の意識をギュッと統一するために、ビジュアルの力が非常に大きいと思います。実際のプロジェクトでも、メンバー全員で話したものをビジュアライズすることで一気に前に進むことが多いので、「PY」としてもTechnologyとVisualを融合させて高いレベルで出力できる、というのは大きな強みだと考えています。

RADWIMPSとのヴァーチャルライブでは、野田洋次郎さんをはじめとするメンバーとの直接の会話から生まれた漠然としたイメージを、3DCGを駆使してビジュアライズすることで目指すゴールがクリアになり、プロジェクトが一気にドライブしました。

RADWIMPSとの会話で生まれた「塔」のモチーフを中心に、世界観をCGでデザイン。このビジュアルがプロジェクトを推進する重要なイメージとなった。

企画を精緻に視覚化する「ビジュアルドリブン」な仕事の進め方は、実は他にもメリットがあります。それは、例えばクライアントの決裁者と話すためだったり、そこまでテクノロジーに詳しくない人との共通言語ができる、ということです。

僕自身もテクノロジーの本当に細かいところまで理解している訳ではないのですが(笑)、PYチームには本当に優秀なエンジニアが揃っていますし、今までの経験の蓄積やフィジビリティの勘所は解像度がかなり高まっているので、最終的なアウトプットに近いビジュアルをスピード感を持って出せる。それは、他のプロダクションには無い強みだと思います。

— 強いビジュアルが一つあることで、色々な進行がスムーズになりますよね。PARTYは「空間」をデザインするプロジェクトも増えてきている印象ですが、そういったフィジカルとデジタルを掛け合わせた領域でもイテレーションは可能なのでしょうか?

瀬賀誠一 (Digital Artist):

空間を使った「未来の体験」をデザインするにあたり、エンジニアと深く連携してゲームエンジンや建築用ソフトでビジュアライズすることが多くなっています。当然、現実の空間では、ヴァーチャル上でのシミュレーション通りに行かないことが多いので、イテレーションを繰り返せるチームでないと実現は不可能だな、と感じますね。

UZABASEさんのオフィスデザインでは、「ダクトに擬態したLEDサイネージで毎日の経済情報をビジュアライズする」というアイディアを実現するために、現場で実際にサイネージに映像を写してクオリティを上げていくことが必要だったので、本当にヤバいくらいのイテレーションを繰り返しました(笑)

LEDサイネージは実際の建物の天井に配置されているダクトがモチーフ。表示される映像はユーザベースが提供する経済情報を毎日リアルタイムで更新。

LEDサイネージ自体のデザインと、そこに流す映像、さらに他のフィジカルな機構との融合は頭の中で全て想像することが難しかったので、イテレーションによるトライ&エラーを繰り返すことで「これが正解かも?」という道筋をチームで確かめられましたし、すべてのピースがバチッとハマった瞬間はクライアントも含めて本当に感動しました。自信を持って「これは未来の体験だ!」と言えるものに仕上がったと思います。

梶原洋平:

どの領域でも、良いアウトプットのためには必ずイテレーションが必要です。企画をドライブさせるビジュアルや、Unreal Engineなどのゲームエンジンを活用して高いレベルのシミュレーションを行うことができるので、クライアントとのコミュニケーションを大切にしながら、一つのチームになってイテレーションを楽しめると、きっと想像を超えるものがつくれると信じています。

あらゆるフェーズの「課題とアイディア」をテクノロジーで解決する

— では、具体的に「PY」にはどんな相談の仕方が可能なのでしょうか?

コバヤシタケル:

プロジェクトは常に状況が変化しますよね。アイディアから始まり、フィジビリティの検証、幾多のプロトタイピングを経て、ようやくサービスや製品・作品ができあがります。すべての段階で必要な知見や技術が異なるため、PYでは状況に応じて柔軟にチーム編成や役割を変えながら、プロジェクトを成功へ導くパートナーになれればと思っています。

「PY」であれば、Webサイト、アプリ、サービス開発、AR・XR、AI、メタバース、デバイス制作、インスタレーション、R&D、ほぼすべての領域でお手伝いできるメンバーが揃っています。もし、現時点で課題や実現したいアイディアをお持ちであれば、どのフェーズでも、ぜひ気軽にご相談いただければと思っています。

梶原洋平:

一時期は、新しいテクノロジーを使った施策やコミュニケーションだというだけで話題になりましたが、その時代は終わりました。広告でもサービス開発でも、単にSNSで話題になることを目的にするよりも、目の前にある課題や実現したいアイディアと向き合った時に、テクノロジーにどんな可能性があるか?を手を動かしながら見出していくべきだと思っています。そして、実践を繰り返して、社会実装に向けて試行錯誤する中でしか生まれないものがある。きっと、「未来の体験」はそこから生まれるはずです。

難しい課題であるほど燃えるチームなので、ぜひ、お声がけをお待ちしています。

PYへのコンタクトはこちらから
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11月11日の「ポッキー&プリッツの日」に合わせて、自分の顔写真などを元に作ったARキャラクターを生成する「みんなの写真が踊りだす!? ハイ!ポッキーAR」を制作しました。

アプリを起動し、ポッキーのパッケージに付いたマーカーを読み取るとARキャラクターが出現。自分の顔をはめ込んだアバターとしてキャラクターにダンスを踊ってもらうことで、自分でダンスせずともSNSに動画をアップすることができます。公開後は「ポッキー&プリッツの日」にあわせてXでも話題となり、Apple App Storeの無料アプリランキングで2位(エンターテインメントカテゴリ)を獲得しました。

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PARTY / PYに所属するMedia Artist・川口萌花(@moka_lllo)とDigital Artist・瀬賀誠一(@SeiichiSega)が、それぞれ人気のオーディオビジュアルイベントにアーティストとして参加し、最新のVJ作品を発表しました。

川口萌花 コメント:

今回で二度目のコラボレーションとなるfoanaの奏でるモジュラーシンセサイザーのサウンドが、ディスプレイ上で最も映えるVJを心掛けてパフォーマンスしました。個人的には「宇宙」がテーマで、生命力を感じながらもどこか無機質で畏怖を感じるビジュアルを意識しました。

Photo by MUTEK.JP / Shigeo Gomi
Photo by MUTEK.JP / Shigeo Gomi
Photo by MUTEK.JP / Shigeo Gomi

瀬賀誠一 コメント:

YPY & Kodo(鼓童)の即興性のあるパフォーマンスに対し、抽象度の高い粒子の動きをオーディオリアクティブさせました。焚火の揺らぎや河川の流れのような自然現象を感じさせる粒子の動きは観賞者に永続的な興味を与え、音と映像が密接に干渉しあう没入感のあるライブパフォーマンスになるように設計しました。


"Duct Mimicry" |日本空間デザイン賞2023・審査員特別賞を受賞

PARTYが手がけた“Duct Mimicry” Ambient Digital Signageが、日本空間デザイン賞 2023で審査員特別賞/中村拓志賞を受賞しました。

林重義 (Creative Producer) コメント:

東京の中心地である皇居や東京駅周辺は、特に景観条例が厳しい場所でした。そんな環境を逆手にとり「環境と景観を守るデジタルサイネージ」を考案しました。オフィスの中の「ダクトに擬態する」デジタルサイネージは公共の場の経済情報インフラとしても象徴となっています。

通常の目立つ存在であるサイネージとは異なるアプローチが、「日本空間デザイン賞」という栄えある賞に評価いただき光栄です。

PARTYはこれからも「未来の体験」を生み出し、より楽しく美しい世界をつくっていきたいと思います。

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