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酪酸産生菌たちが制御性T細胞を増やすことで免疫機能を高めている!

昨日のコラムで酪酸産生菌が腸内に棲息していると免疫機能が高まり、逆に減少すると免疫機能が弱まるという話しをしました。

今日はもう少し突っ込んでみたいと思います。用語的に内容が難しくなりますが、噛み砕いて表現したいと思います。元ネタは江田証先生の「すごい酪酸菌」からの引用です。

酪酸産生菌の話しの前に、制御性T細胞の話しをしたいと思います。

制御性T細胞とは、免疫機能を高め、腸の粘膜を健康に保つ細胞で大阪大学免疫学フロンティアセンターの坂口志文先生らにより発見されました。

制御性T細胞は、炎症を起こしたり、暴走したりする免疫細胞をおとなしくさせて免疫機能を高めます。アレルギーやアトピー性皮膚炎などの自己免疫性の病気も防ぎます。

この制御性T細胞ですが、どうやら酪酸産生菌が含まれる「ファーミキューテス門 クロストリジウム属の菌」が有効に働きその数を増やしているようなのです。

ただ、1つの酪酸産生菌ではだめで、17菌種のものがそれぞれの代謝産物を順に食べていき、最終的な代謝産物が制御性T細胞を生み出しているようです。

これを“17菌種の腸内細菌カクテル”と呼ぶそうですが、いまヨーロッパで活用され、アレルギーや自己免疫疾患を抱える患者さんに人の臨床試験が行われています。

実際に人の体内にこの17菌種すべての酪酸産生菌が保有されているかどうかはわかりませんが、もし仮に自己免疫疾患を抑えているとしたら、多くの酪酸産生菌が働き、制御性T細胞を活性化させているのだろうと思います。

ファーミキューテス門は、健康な多くの方が50%以上を保有する菌種です。

ピンポイントで17菌種を選んで増やすことは、医学的な処置をしないと難しいですが、酪酸産生菌(ファーミキューテス門の菌種)を増やす食事をすることで、多種類の酪酸産生菌が生まれ自然に制御性T細胞を増やす結果になるというのは考えられます。

「免疫の守護者 制御性T細胞とはなにか」という著書を、坂口志文先生らが出版されていて、購読することはできます。私も少し試し読みだけしました。人はなぜ病気になるのか?から書かれていて、免疫学を詳しく知らなくても読める内容だと思います。

酪酸産生菌との関連までは書かれていないようですが、読んでみようと思います。

*画像は小腸の上皮細胞をイラスト化したものです!