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競争社会の落伍者です。

新卒で大企業に就職した。金融系の会社だ。

大学は浪人してまでいいところにいったので、就職活動では少しでも有名な企業に行きたいという願望があった。

愚かな考えだったと思う。自分がやりたいことにフォーカスを向けられなかった。

陳腐な言い方だけどなんだかんだ望み通りに、大企業に入社した。

入社式に行きすぐに気がついた。自分には場違いな程に優秀な人間が集まっていた。あまりの息苦しさに逃げ出したくなった。

受験にしろ、部活にしろ、人間関係にしろ「勝ってきた」奴しかいないと思った。

ワックスで固められた髪からは自尊心が、シースルーの前髪からはバイタリティが漏れ出ていた。

肌艶のいい健康な働き盛りの20代が集まっている。

天下一武道会の待合室にしか見えない。資本主義の中で勝ち続けてきた腕自慢が、今か今かと鼻息荒く腕を回している。

入社式でも、研修会でも、懇親会でも両隣が早慶出身の人間であった。揃いも揃って優秀な大学を出て、揃いも揃って美男美女、揃いも揃って自信に満ち溢れている。

もちろん皆、能力が高い。

小中高大と受験や部活で競争ばかりさせられて、なんとか破れかぶれでもやってきた。

でも、ここにきてまた競争かよ。いつまでやらすんだよ。

マリオならクッパ城。ドラクエなら魔王の寝ぐら。最終局面。最後の戦いだと思いたい。これが終われば全クリか?

いいや、この競争に終わりはない。

完全に私は落伍者だ。上がらない役職や給料にいつまで怯えながら生きなければいけないのか。自分のできなさに今日も落ち込む。

言い訳をすれば、この競争に勝つためには道が狭すぎる。勝つための攻略法はたった一つしかない。

選ばれること。

選ばれてこなかった人間だからそれが良くわかる。

競争する奴らのカウンターになりたい。

F-1のレースで、販売車で焼き芋を売る。G1のパドックで三角木馬にブリーフ一丁で乗る。そういう競争とは全く別のところで生きていかないとやっていけない。

同じスタイルで戦うにははこちらの部が悪すぎる。

先日同僚が、会社を辞めたいと言い出した。自分の働きぶりにしては給料が低いらしい。すごく優秀だが、どこか鼻につく奴だった。

そういうことじゃねぇんだよな。そういうことじゃねぇんだよ。

ビジネスでは選ばれるために競争しなくちゃいけない。

でも、その競争で疲弊して走れなくなったら元も子もない。

自分のペースで自分のやり方で。そんなこといつになったらできるのか。

なんて考えていたら多分すぐにおじさん。

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