税務調査でリベート・キックバックを追及されたくない場合の処理方法
リベート・キックバックの支払いについては、業種・業態に限らず多くの会社で存在しますが、それ自体が直接的に税務上問題になるわけではありません。
一方で、税務調査においてはリベート・キックバックを支払った相手方が、その受け取った金銭等を申告していない場合など、追及を受けることになります。
また、リベート・キックバックを支払った相手方が会社員であった場合などは、勤務先にリベートを受け取っていた事実がバレる可能性が高まるなど、
税務リスク以外のリスクが生じることもありますから、注意が必要になります。
「謝礼などのリベートは税務調査でどう問題になるのか?」
今回は、税務調査でリベート・キックバックを追及されたくない場合の処理方法を教えましょう。
■社長の役員報酬手取り額からリベートを払う
税務調査でリベート・キックバックを追及されたくない場合、社長が受け取った役員報酬の手取り額(社会保険・源泉所得税差引き後)からリベート・キックバックを支払うことです。
このように処理すると、
「えっ!?それって社長の個人的なお金から支出しているから、
会社の経費(損金)になっていないよね?」
と思われるのですが、そうとも言えません。
これに関しては、下記で具体的に説明します。
まず、役員報酬の手取り額からリベートを支払った場合、税務調査でその相手方を追及されることはありません。
なぜなら、リベートの支払い自体が法人の帳簿に載らないからです。
役員報酬の手取り額から支出するということは、あくまでも個人的な支出という取扱いになりますので、
役員報酬の金額・支払いは帳簿に載りますが、そのあとに社長個人がリベートを取引先に支払ったことまで、税務署はわかるはずがないのです。
■実際の金額で考えてみましょう
年間に発生する支払いリベートを100万円として考えてみましょう。
役員報酬の金額によって税率はかわりますが、それほど高い設定でないのであれば、役員報酬を年間150万円程度上げます。
役員報酬は(過大でない限り)損金になります。
具体的に考えてみましょう。
〇役員報酬:800万円
〇役員報酬の手取り額(社会保険・源泉所得税差引き後):600万円(概算です)
⇒
〇増額後の役員報酬:950万円
〇増額後の役員報酬の手取り額(社会保険・源泉所得税差引き後):700万円(概算です)
役員報酬を150万円増額させた結果として、社長の手取り額は100万円増えました。
この100万円を原資に、リベートやキックバックを取引先に支払うということです。
一方で、増額後の役員報酬950万円は経費(損金)になりますから、支払うリベートが経費になっていないわけではありません。
取引全体としてみれば、
〇役員報酬増額分の150万円分が追加で経費になる
〇リベート100万円は経費にしない
〇社長個人の手取り額は変わらない
〇ただし、役員報酬増額分の社会保険料や源泉所得税は増える
となっているわけです。
■事業・経営を考えると何が得なのか?
上記のシミュレーションは、あえて単純化して解説しています。
もちろんこの方法をとっても、社会保険料や源泉所得税が増えていますので、支払ったリベートが全額経費(損金)になるわけではありません。
しかし、「相手方を明かしたくない」ということを最優先で考えるのであれば、この方法をとることがもっとも現実的ですし、かつ税務調査でモメる・追及されることがなくなるというメリットがあります。
また、交際費が800万円を超えている法人では、この方法によって、実質的な実効税率が下がる可能性があります。
ここで大事なのは「何を優先するか?」です。
会社としては税務リスク(税金が多少増えること)よりも、取引先に対するリベート・キックバックを追及されることの方が困る、取引を停止されたらもっと困る、というのが本音でしょう。
事業・経営上はリベートが必要であって、かつ相手方を明かせない、という優先順位をつけるのであれば、ある程度の課税を受けても、役員報酬から支出した方がいいことになります。
ぜひ参考にしてください。
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